職場でいじめられたらどうしたらいい?相談窓口と対処方法を5つ紹介

「職場で嫌がらせを受けてつらい…」と悩む方は少なくありません。労働局などに設置されている総合労働相談コーナーでは、職場でのいじめ・嫌がらせに関する相談が最も多く、社会問題となっています。

そこで、本記事ではいじめや嫌がらせを受けて職場にいづらいと感じる方に向けて、職場いじめの実態や対処法、相談窓口を紹介します。

記事の監修者:高橋 秀誓
coachee株式会社 代表取締役 高橋 秀誓のプロフィール写真

高橋 秀誓
キャリアコンサルタント

coachee株式会社 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
プロティアン認定ファシリテーター
キャリア相談プラットフォーム『coachee(コーチー)』運営者

明治大学卒業後、リテール、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て総合人材サービス会社に勤務。
求人広告、人材紹介、人材派遣、SESにおける、ソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。エグゼクティブ,Web,IT,SI.HRにおけるリクルーティング支援、キャリア形成支援を行う。
相談実績は3500人以上。

\仕事に関する悩み全般に対応しています/

目次

職場いじめとは?

職場いじめとは、働いている人が身体的または精神的に苦痛を感じる言動を社員や雇用主から受けることです。いじめによって出勤がつらくなったり、仕事のパフォーマンスが落ちたり、退職に追い込まれるケースもあります。

令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争は316,815件で、そのうち「いじめ・嫌がらせ」の相談は69,932件でした。この件数は、すべての個別労働紛争の中で22.1%を占めており、総合労働相談コーナーで最も多く相談された内容となります。

つまり、職場での嫌がらせに悩んでいる人は多数存在し、いじめを解決に導く相談機関の重要性が高まっているのです。

よくある職場いじめのケース

よくある職場いじめは、以下があげられます。

  • 殴る・蹴る・物を投げつけるなどの暴行を受ける
  • 他の社員や客の前での過度な叱責や必要以上に長時間の叱責される
  • 人格を否定するような言動を受ける
  • 無視・忘年会など飲み会に誘われない
  • 就業間際に業務を押し付けられる
  • 担当業務以外の雑用ばかりさせられる
  • 明らかに多すぎる仕事を割り当てて、残業や休日出勤をさせる
  • 休憩や有給休暇を認めてもらえない
  • 仕事を与えられない・些細なミスを一度しただけで担当から外される
  • 性的な言動を受ける
  • プライベートに過干渉される
  • 病歴など個人的な情報を他の社員に暴露される

このように、いじめにはさまざまなケースがあります。どのケースでも心理的、 物理的な攻撃を受けたことで精神的な苦痛を感じた場合は、いじめと言って良いでしょう。

職場いじめのターゲットにされやすい人の特徴

いじめのターゲットにされやすいタイプは、以下があげられます。

  • 気が弱く言い返せない人
  • 何でも引き受けてしまう人
  • ミスを繰り返す人
  • マイペースすぎる人
  • 能力の高い人

相手の言動に対して意見を言えない人や頼まれると断れない性格の人は、気の弱さに付け込まれやすいでしょう。

仕事面では、何度も同じミスをしてしまうと周囲の人は苛立ちを覚えて、いじめにつながることがあります。あるいは、仕事はできるものの協調性に欠ける場合も、他の人から反感を買ってしまうことが少なくありません。

さらに、仕事が良くできて意識の高い人なども嫉妬から嫌味を言われたり、孤立させられたりする場合があるようです。

職場でいじめられたときの対処法5つ

職場の居心地が悪く、嫌がらせを受けていると感じたときの対処法を5つ紹介します。

  • 状況を整理する
  • 解決のために証拠を取っておく
  • 相手には毅然とした態度で接する
  • 第三者に相談する
  • 転職を検討する

順に説明します。

状況を整理する

まずは、状況整理をします。いつ、誰に、何をされ、その結果どうなったか、事実と自分が感じたことを書き出してみましょう。書き出していくうちに自分の状況を俯瞰でき、起こすべき行動が見えてきます。

いじめは行う方が100%悪いのですが、たとえばいじめの原因が遅刻やミスの多さなど、自分にも非があると気づけることがあります。そういった場合は、自分の行動を改善することで状況が好転する可能性が出てくるでしょう。

客観的に見て相手の言動に問題がある場合は、第三者への相談がおすすめです。状況整理をしておくと、相談の際に役立ちます。

解決のために証拠を取っておく

いじめを解決するためには、以下のような証拠を取っておくことも大切です。

  • いじめと感じたメール
  • いじめを受けた際の動画や音声
  • 暴行などでケガをした部位の写真
  • 精神的・身体的被害を示す医師の診断書
  • 嫌がらせの日時や内容を記録した日記
  • 第三者の証言

特に第三者の力を借りる解決方法を取る場合は、証拠があると円滑に話が進みます。

相手には毅然とした態度で接する

いじめをする人にはっきりと「やめてください」と伝えることも大切です。その際には、状況整理のメモや証拠を活用しながら、理路整然と話します。

相手の言動が理不尽であることを指摘しつつ、業務に集中したいことを伝えると、嫌がらせをしにくくなるでしょう。

どうしても相性が悪いと感じる相手の場合は、可能な限り対面での接触を避けるのも一つの方法です。具体的には仕事と割り切って事務的な会話のみ行う、事務連絡はメールやチャットで行うなどがあげられます。

相手と接する時間を極力なくすことで、いじめを行うタイミングがなくなり、自然と解決していることもあります。

第三者に相談する

嫌がらせの相手に立ち向かうのが難しい場合は、信頼できる第三者に相談しましょう。

上司や同じ部署の先輩、同僚などに相談すると、いじめをする人に意見してくれたり、指導してくれたりします。また、上司であれば人事異動や同じ業務を担当しないなど、いじめがエスカレートしないよう対処してくれる可能性があります。

対処してほしい訳ではなく、話を聞いてほしい・状況を整理したいのであれば友人やパートナー、家族に相談するのも良いでしょう。客観的にアドバイスしてくれますし、話を聞いてもらうだけでも気持ちが楽になります。

転職を検討する

会社に相談しても状況が変わらない、または状況が悪化したなら転職も視野に入れましょう。悪質ないじめを受けると、身体的・精神的に支障をきたしてしまい、さらには精神的後遺症に苦しむことになりかねません。

ただし、勢いで辞めてしまうのではなく、解決に向けた行動を起こしてから転職することをおすすめします。特に、待遇や仕事内容は自分に合っていて人間関係のみ問題がある場合は、現職と同じ条件の転職先があるとは限らないため、慎重に検討しましょう。

\転職の判断軸も相談できます/

職場いじめで悩んだときに利用したい相談窓口5選

一人で悩むよりも第三者が介入する方が、職場いじめを解決できます。職場にいるのがつらいときは、以下の相談窓口を利用しましょう。

  • 社内の相談窓口
  • 総合労働相談コーナー
  • みんなの人権110番
  • 法テラス
  • キャリアカウンセリング

順に紹介します。

社内の相談窓口

まずは社内の相談窓口を利用しましょう。

多くの企業では、いじめや嫌がらせなどハラスメントを受けた場合の相談窓口が設けられています。その理由は、令和2年に「改正労働施策総合推進法」が施行され、大企業・中小企業でパワーハラスメント防止措置が義務付けられたことにあります。パワーハラスメント防止措置では、企業はハラスメント相談窓口の設置と相談に対して適切に対応しなければならないと決められているのです。

相談窓口では実際にいじめに遭った場合だけでなく、パワハラ発生のおそれがある場合やハラスメントに該当するかわからない場合でも相談できます。窓口の担当者は研修を受けることや、人事部と連携して対処することも定められているので、迅速な問題解決が期待できます。

参考:職場におけるハラスメントの防止のために|厚生労働省

総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーとは、各都道府県の労働局や労働基準監督署内に設置されている相談窓口です。予約不要かつ無料で労働に関する全般の相談ができます。

いじめの状況などから、企業が労働基準法等に違反している可能性があると判断された場合は、行政指導の権限を持つ労働基準監督署等に取り次いでもらえます。また、法的な対処を希望すれば、裁判所や法テラスなどの情報も提供されます。 秘密厳守で相談を受けてくれるので、会社に相談したことが知られるおそれもありません。

対面での相談だけでなく電話相談もできるので、悩んでいる方は総合労働相談コーナーを利用しましょう。

みんなの人権110番

みんなの人権110番は、法務省による全国共通人権相談ダイヤルです。差別やハラスメントなど人権問題に関する悩みを電話相談できます。相談は、法務局職員または人権擁護委員が担当します。

いじめやハラスメントの相談・申告をすると、職員または人権擁護委員が中立公正な立場で調査を行い、以下の救済措置をします。

  • 関係機関への紹介、法律上の助言
  • 当事者間の関係調整
  • 人権侵害を行った者に改善を求める
  • 実効的対応ができる者に必要な措置を求める
  • 刑事訴訟規定により告発する
  • 関係者に人権尊重の理解をする働きかけ
  • 関係行政機関に情報提供、措置の発動を求める

救済措置に強制力はありませんが、公的な第三者機関から改善を求められたら、ほとんどの企業は対応せざるを得ないでしょう。救済措置後、相談者には結果を伝え、手続き終了後も必要があれば対応してくれます。

法務局・支局では電話相談だけでなく、インターネットや窓口での対面相談も可能です。

【みんなの110番】
受付時間:平日8:30~17:15
電話番号:0570-003-110
インターネット相談窓口: https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html

法テラス

法テラスは、国によって設立された日本司法支援センターで、法的トラブルの解決をサポートする機関です。悪質ないじめによって体調を崩した・または退職に追い込まれた場合などに相談ができます。

収入等が一定額以下の方は、無料で弁護士に相談可能です。また、条件を満たせば、弁護士に書類作成や交渉、調停の手続き代理などを依頼する際の費用等を法テラスに立替えてもらい、分割で返済する制度もあります。 相談窓口は、各地域にある法テラスか法テラスと契約している弁護士事務所です。

自分が法的トラブルに巻き込まれているのかわからない方や、職場いじめに関する法情報を知りたい方は、電話やインターネットでの相談がおすすめです。相談を担当するのはオペレーターですが、法制度や相談機関の情報を収入に関係なく無料で提供してもらえます。

【法テラス】
受付時間:平日9:00~21:00、土曜9:00~17:00
電話番号:0570-07-8374
メール: https://www.houterasu.or.jp/cgi-bin/formmail/formmail.cgi?d=toiawase
※メール相談は、年中無休24時間受付しています。

キャリアカウンセリング

キャリアカウンセリングとは、専門家が相談者との対話を通じてキャリア形成をサポートするサービスです。「いじめがなくならない職場から転職すべきなのか迷う」「いじめの相手や仕事への向き合い方を知りたい」など、働くこと全般の相談ができます。

カウンセラーと状況や気持ちを整理して起こすべき行動が明確になりますし、話すことで気持ちが軽くなります。相談後に転職を決意した場合は、徹底した自己分析から自分に合う仕事の探し方、入社試験対策まで相談可能です。

キャリアカウンセリングなら『coachee』にお任せください。coachee』には、さまざまな分野のキャリアコーチが所属しており、人間関係の相談から転職まで、悩みに合ったアドバイスをしています。

相談料はコーチやプランによって異なりますが、1,000円から相談できます。仕事に関する悩みのある方はお気軽にお問い合わせください。

職場いじめに遭ったら一人で悩まず行動を起こそう!

職場でいじめや嫌がらせを受けてつらい思いをしている人は、多く存在します。正社員であれば一日の多くの時間を職場で過ごすので、継続的な嫌がらせを受けると心身に支障をきたす可能性もあります。

職場でいじめに遭ったら、一人で抱えずに相談内容や解決方法に合った相談窓口を利用しましょう。自分の状況を整理したい、転職を視野に入れたアドバイスがほしい方は、キャリアカウンセリングの利用がおすすめです。

\仕事の悩みを解決する専門コーチがいます/

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