未経験からエンジニア転職は難しい?「理由」と「対策」を説明します。
情報技術の発展やプログラミング教育の必修化、副業やテレワーク等を背景に、IT系職業の需要が高まっています。しかし、IT業務に関して未経験な人ほど、IT企業に転職するのは難しいと思う人もいるのではないでしょうか。
本記事では、IT未経験の人がエンジニアになるのは難しいといわれる理由や、対策について解説します。IT未経験でもエンジニアに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
高橋 秀誓
キャリアコンサルタント
coachee株式会社 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
プロティアン認定ファシリテーター
キャリア相談プラットフォーム『coachee(コーチー)』運営者
明治大学卒業後、リテール、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て総合人材サービス会社に勤務。
求人広告、人材紹介、人材派遣、SESにおける、ソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。エグゼクティブ,Web,IT,SI.HRにおけるリクルーティング支援、キャリア形成支援を行う。
相談実績は3500人以上。
1.未経験からITエンジニアになるのが難しいといわれる理由
「未経験からエンジニアを目指すのは難しい」と言われる理由はなぜでしょうか。ここでは主に3つ紹介します。
1.1 業務を行えるために必要な技術習得迄のハードルが高いから
他の職種と比べた際に、開発業務を行う上で最低限必要な知識が非常に多く、未経験者が、入社後すぐに取り書かれる業務は限られてきます。そうすると、まず行わなければならないことは、技術の習得となるのですが、この技術の習得迄のハードルが高いのです。専門的な事を学ぶには、時間やコストがかかります。学び切る前に挫折するというリスクもあります。技術習得を如何に行うかが課題になっています。
一度技術を身につけてしまえば、安泰では?
実際はそのようなことはありません。常に技術を身につける姿勢は求められます。
IT技術の進化は非常に速く、登場した技術は常にバージョンアップされ変わっていきます。そのため、次々登場する技術を有効に活用するには、常に学習意欲を持ち続け、スキルアップする姿勢が大切です。
例えば、1990年代にWindowsが爆発的に広まりパソコンが普及しました。さらに2007年にはiPhoneが登場し、スマートフォンが普及し誰もが持つようになりました。そして今やAIやIoT、VR(仮想現実)など新しい技術が注目を集めています。
このように次々登場する技術に常に目を向け、対応するスキルを身につけなければなりません。しかし年齢が上がると新しい知識を身につけるのは難しくなります。そのため、転職を行うなら早めでないと「技術についていくのが大変」という状況に陥ります。
1.2 未経験者を採用する会社が少ないから
技術習得には、時間やコスト、リスクが伴うとお伝えしました。未経験者を採用するということは、その全てを会社が負担するということになります。採用はあくまで事業目標を達成するための投資活動です。投資判断として、未経験者の採用に慎重にならざるを得ないという状況があります。
30歳以上でITエンジニアへの転職は厳しい?
正直な話、転職難易度は高くなります。その理由は、企業側で求めているスキルが年齢に比例して高くなるからです。20歳では積極的に知識を吸収してスキルを高められるだけでなく、体力もあるため多少負荷の高い仕事でも乗り切れます。それに比べ30歳を超えると、これから高めるスキルよりも、すでにもっている経験に基づいたスキルを求められるようになります。
そのため、同じ未経験でも20歳代と30歳以上を比較すると、成長を期待できる20歳代の方が転職には有利なため、30歳を超えてからの転職は難しくなります。
1.3 エンジニアになりたい未経験者が多いから
エンジニアになりたい方は依然多いです。エンジニアの印象は、「好きな場所で仕事ができる」「好きな時間で仕事ができる」「自由な服装」「給与が高い」「スマートでかっこいい」という声が多いです。それが正しいかはおいておくとしても、エンジニアに憧れる方はとても多いのは事実です。日々多くの未経験者が選考を希望し、エントリーされています。
ITエンジニアは実際、条件が良いの?
経験者として、スキルが認められたエンジニアに限定すると、とても良いといえます。ですが、未経験者はそうではありません。転職に成功したものの、場合によっては自分が望んでいた条件とは異なる場合もあります。はじめはあまり期待値を高く持ちすぎないほうが良いかと思います。
勉強が難しい上に企業からニーズが少なく、ライバルが多い。
↓
未経験からエンジニアへの転職はたしかに難しい。
2.未経験からエンジニアになれる?方法は?
「未経験からエンジニアになるのは無理なのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし結論をいうと「エンジニアになるのは可能」です。その理由について解説します。
2.1 ITエンジニア(経験者)は人材不足
経済産業省の調査(※1)によると、IT人材不足は深刻化しており、2018年のIT人材不足数は22万人と言われています。その後もIT人材不足数は増加の一途をたどり、2030年のIT人材不足数は約79万人になると予測されています。
※1 経済産業省:IT人材需給に関する調査(概要)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
このように、ITエンジニアは非常に不足している状況にあります。2020年から小学校でプログラミング教育が開始されるなど、ITエンジニアの不足を補おうとする政策も打ち出されているものの、IT人材の不足はしばらく続く見通しです。そのため、今後もますますIT人材の需要は高まるでしょう。
企業からニーズはないと言っていたけど、矛盾していない?
【経験者】のニーズは非常に高いのは間違いないです。まずは、経験者になることを最優先の目標としましょう!
2.2 経験者になることを最優先にする
経験者になることを最優先にするということは、それ以外の条件を少々検討するということになります。それでも、場所、時間、年収、働き方、環境、業態等…どうしても譲れない条件がある場合は、予め優先順位を決めておくと良いでしょう。
ITエンジニアに対する待遇は経験とともに飛躍的に良くなっていきます。そのため、最初から全てを手に入れるのではなく、徐々にレベルアップすることで、環境も整えていくといった方向性を持つことが大事です。
経験、スキル向上をすると、いろんなものが手に入る。この順番を意識しよう!
3.未経験からITエンジニアになる具体的な方法
未経験でもITエンジニアになれますが、事前に備えることで、その後のエンジニアとしてのキャリアは大きく変わってきます。ここからは、未経験からITエンジニアになるために押さえておくべきことを解説します。
3.1 目標を定める
開発エンジニアが働く環境は、様々で大きくは業態と仕事内容で変わってきます。採用される難易度が変わるため、ご自身の状況によっても、臨機応変に設定すると良いでしょう。
業態とは、事業の形態を意味し、「自社サービス開発会社」(自社でサービス開発を行っている)、「受託開発」、「SES」、「IT派遣」等が該当します。
仕事内容は、「フロントエンドエンジニア」、「サーバーサイドエンジニア(バックエンドエンジニア)」、「webデザイナー」等が該当します。その他、言語や環境等が有るのですが、ここでは省略します。
年齢、経験、スキル、環境、学習状況により方向性は大きく変わってきます。どういった方向性で学習を進めていけばよいか相談したい場合は、下記より相談可能です。
3.2 ポートフォリオを作成する
ポートフォリオとは、自分の能力や実績を示す作品のことです。例えば、プログラマーになりたい場合はWebサービスやゲーム、スマートフォンアプリなどを開発するのも1つの方法です。Webエンジニアになりたければ自分がデザインしたオリジナルのWebサイトを開発し公開するとよいでしょう。
自分がどれだけのスキルをもっているか相手に理解してもらうためのポートフォリオを作成しておくと、採用してもらえる可能性も高まります。
3.3 書籍やオンライン学習サービスを活用する。
ITエンジニアになるためには相応の知識・スキルが必要ですが、今ではそれらを身につける方法がいくつもあります。
・書籍を購入して独学
・UdemyやProgate、ドットインストールなどの学習サイトを利用する
おすすめオンラインプログラミング学習サービスは以下の5つです。
スクール名(公式HP) | 特徴 |
Progate【公式HP】(https://prog-8.com/) | スライドを使った学習形式、ブラウザに直接プログラムを書き込める・間違えを指摘してくれる |
ドットインストール【公式HP】(https://dotinstall.com/) | 動画による学習スタイル。動画も3分程で、初心者向け。動画を見ながら自分で手を動かしてコーディングなどの作業を進める |
paizaラーニング【公式HP】(https://paiza.jp/works) | 学習プログラムは求人票をベースに作られているので、実践に役立つスキルが学べる。 |
Udemy【公式HP】(https://www.udemy.com/ja/) | オンライン講座プラットフォーム。10万以上の動画から選択して学習できる。プログラミング特化ではない。 |
Schoo【公式HP】(https://schoo.jp/) | 多種多様な学びを定額見放題で提供されている。検収動画としても使用される。プログラミング特化ではない。 |
学習サイトやオンラインプログラミングスクールにおいては、パソコンとインターネットに接続する環境さえ整えば、いつでもどこでも学習できます。そのため、学ぶ意欲と時間さえあれば、誰でもITスキルを身につけられます。
3.4 プログラミングスクールを利用する
まとまった時間が取れる方や、独学での勉強が難しく相談相手がほしい、という方は、プログラミングスクールを利用するのがおすすめです。実績のあるカリキュラムとスキルをもったメンターからサポートを受け、着実にスキルを身につけることができます。
さらにプログラミングスクールによっては、転職保証制度が利用できるものがあります。これは、スキルを身につけるだけでなく転職までサポートが受けられ、万が一転職できなければ受講料が全額返金される制度です。
転職保証を受けるにはいくつかの条件もありますが、確実に転職したいなら、転職保証制度のあるプログラミングスクールを利用するとよいでしょう。
無料説明会への参加
プログラミングスクール各社で無料説明会や無料カウンセリングを行っております。
プログラミングスクールにおける料金や内容だけでなく、業界や仕事内容、エンジニアとしてのキャリアに関してもご説明してもらえることもあるので、できる限り参加されることをオススメします。下記ページから説明会予約が可能です。
3.5 転職エージェントを利用する
未経験OKの求人にそのまま応募しようと思っても、履歴書の作成や採用面接に自信のない人もいるでしょう。その場合は、転職エージェントを利用すると便利です。転職エージェントは無料で相談でき、自分の希望にあった求人の紹介や、転職に必要な資料の添削、採用面接のアドバイスなど、転職活動を強力にサポートしてもらえます。
「未経験OKの求人でよいので、とにかく早く転職したい」という方は、転職エージェントの利用がおすすめです。
4.まとめ
未経験からエンジニアになるのは難しいとよく言われます。特に30歳を超えてからの転職は敷居が高く、諦めてしまう人も少なくありません。
しかし、IT人材は需要に対して大幅に不足している状況から、未経験でもエンジニアになれる可能性はあるのです。
大切なのは、転職後も視野に入れて考えることです。エンジニアになって何がしたいのか、目的が明確でないと「こんなはずじゃなかった」と転職後に後悔したり、転職のミスマッチが起こったり、技術を学ぶモチベーションが続かず挫折したりする人もいます。
転職の目的を明確にし、転職後も継続してスキルを学び続ける姿勢を持ちましょう。