後輩指導で大切なこと7選!後輩指導が上手い人の心構えとよくある悩み
後輩指導は、中堅社員の大切な役割・業務の一つです。しかし、いざ指導する立場になると「後輩への接し方がわからない」「指導方法が合っているのか不安」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、後輩指導を行う際の心構えや気を付けたいこと、困ったときの悩み別対処法を紹介します。後輩と良好な関係を築きながら、成長を効果的にサポートしましょう!
高橋 秀誓
キャリアコンサルタント
coachee株式会社 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
プロティアン認定ファシリテーター
キャリア相談プラットフォーム『coachee(コーチー)』運営者
明治大学卒業後、リテール、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て総合人材サービス会社に勤務。
求人広告、人材紹介、人材派遣、SESにおける、ソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。エグゼクティブ,Web,IT,SI.HRにおけるリクルーティング支援、キャリア形成支援を行う。
相談実績は3500人以上。
\仕事に関するお悩み全般に対応しています/
後輩の指導で大切なこととは?7つの心構え
新入社員や新しく部署に配属された社員を適切に育成するためには、後輩の立場に立った指導が大切です。
具体的な後輩指導の際の心構えは、以下の7つがあげられます。
- 社員の模範を目指す
- わかりやすい説明を心がける
- 業務に取り組むうえで必要な情報は必ず伝える
- 後輩を理解する姿勢を持つ
- 後輩のモチベーションが上がる声かけをする
- 注意をするときは伝え方を工夫する
- フィードバックを丁寧に行う
順に説明します。
社員の模範を目指す
指導内容が正しくても普段の業務姿勢が良くなければ、後輩からの信頼は得られません。後輩は先輩の業務の進め方だけでなく、話し方や立ち振る舞いなども見ています。後輩指導を行う前に、まずは自分の仕事への姿勢や言動を振り返って改善点があれば直しましょう。
日ごろから心がけたいことは、以下があげられます。
- 仕事に対して積極的かつ前向きに取り組む
- 会社や他の社員の悪口を言わない
- 自分がミスをしたら、後輩や部下であっても必ず謝罪する
- 威圧的、または上から目線の態度を取らず、話しかけやすい雰囲気を心がける
後輩が「こんな社員を目指したい」と思える先輩・上司を目指しましょう。
わかりやすい説明を心がける
はじめて業務に当たる後輩は、わからないことだらけで不安を抱えています。先輩が業務を一つずつわかりやすく説明することで、後輩の仕事への理解度が増し、安心して業務に取り組めます。
以下のことを意識して、指導に当たりましょう。
- 専門用語を多用しない(専門用語を使う時は、その言葉の意味も伝える)
- 指示をする際は「5W1H」で具体的に説明する
- 見本を見せる
- 一度にすべての業務を教え込もうとしない
- 後輩が理解できているか、こまめに確認する
特に重要なのは、後輩が理解できているか確認することです。区切りの良いところで、「ここまでで質問はある?」と必ず聞きましょう。「わからないこと」が悪いのではなく、「わからないことを聞けない状態」が良くないと心にとめて説明をしましょう。
そのため、説明後に「実際にやってみて、わからないことがあったらいつでも聞いてね」と声をかけることも大切です。
業務に取り組むうえで必要な情報は必ず伝える
後輩に業務を説明する際には、業務内容や進め方だけでなく、業務に取り組むうえで知っておいた方が良い情報も伝えましょう。具体的には、以下があげられます。
- マニュアルの保管場所
- 担当業務に関連する部署・社員
- よくあるミス
マニュアルの保管場所や困った時にどの部署の誰に聞けばよいかを教えておくと、後輩が困った時に自分で調べて解決する癖がつきます。また、前もって間違えやすい箇所などを伝えておくことも、ミスの防止につながります。
加えて、読んだ方が良い書籍や勉強になる動画、おすすめのWebサイトなども紹介すると良いでしょう。
後輩を理解する姿勢を持つ
後輩指導では、後輩を理解した上で個人に合わせた指導が効果的です。「新入社員意識調査2023」では、新入社員の「上司に期待すること」として「相手の意見や考え方に耳を傾けること」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が圧倒的に多くあげられました。指導を担当する際には、後輩の個性を尊重することが求められています。
後輩を理解するためにも、以下を心がけましょう。
- 後輩の考えや意見を聞く
- ミスをした時などに頭ごなしに叱らず、後輩が取った行動の理由を聞く
- 自分のやり方や考えを強要しない
- 思い込みをせずにコミュニケーションを取る
後輩の意見を聞く姿勢を持つことでコミュニケーションが生まれ、一方的な指導ではなくなります。そうすることで、後輩の当事者意識や自主性、自分の考えを説明する力が育成できます。
後輩のモチベーションが上がる声かけをする
後輩の意欲を高める声かけも後輩指導の大切なポイントです。マンパワーグループ(株)の「部下の指導方法」調査では、指導でうまくいったこととして「褒めることでモチベーションを上げる」という声があげられました。
後輩のモチベーションを上げる方法は、以下があげられます。
- これから教えることがどのように仕事やスキルアップにつながるか伝える
- 達成したことは一緒に喜ぶ
- 成果だけでなくプロセスでの努力もほめる
- 後輩が成し遂げた業務や成果に感謝する
後輩の向上心や意欲を引き出すことで、成長スピードが上がる可能性もあります。
注意をするときは伝え方を工夫する
後輩がミスをした時や改善した方が良いことがある時の話し方も重要になります。伝え方を失敗するとパワハラと受け取られてしまったり、後輩のモチベーションが下がったりする可能性があるためです。
注意をするときに気を付けたいことは、以下のとおりです。
- 長時間叱らない
- 感情的にならない、人格を否定するようなことは言わない
- 「この書類は〇か所修正点があるよ」など具体的に事実を伝える
- 後輩の気付きを促す質問をする
- 指導内容によっては、注意する場所を変える(大勢の前で激しく叱らない)
- 注意・指摘した後は応援している気持ちや期待していることを伝える
強い言葉でミスを責めすぎると、後輩は委縮してしまい、次にミスをした際に隠そうとする恐れがあります。注意をするときは冷静に事実を伝えた上で、「どうしてこうしたの?」「どうしたら再発を防げるかな」と今後に活かせる声かけをしましょう。
また、後輩にミスした理由や再発防止策を考えさせることで、原因究明力や課題解決能力の訓練になります。指導後は、後輩がミスを引きずりすぎないようにポジティブな声かけをしましょう。
フィードバックを丁寧に行う
後輩指導では、定期的に進捗報告をさせることとフィードバックにも力を入れましょう。最初は進捗報告するタイミングを決めると、後輩に「報連相」の習慣がつきやすくなります。
また、後輩が取り組んでいる業務を知ることで、業務の優先順位を誤っていないか、方向性がずれていないか確認ができます。
フィードバックをする時は、注意点だけでなく良い点も伝えるようにしましょう。
後輩への指導で気を付ける4つのこと
後輩指導で気を付けることは、「自分がされて嫌なことは後輩にもしない」ことです。具体的には、以下があげられます。
- 他人と比べない
- 後輩の意見・考えを聞く
- 一貫性のある指導をする
- 適度に自分から後輩に声をかける
一つずつ解説します。
他人と比べない
他の社員と比較した指導方法は避けましょう。「新入社員意識調査2023」によると、新入社員が仕事をする上で重視することは「成長」がトップ、「競争」は最下位でした。「他の人と比べてどうか」より「過去の自分と比べてどうか」という点を重視している人が多いことがわかります。他者と比較されることで後輩が他の人より劣っていると思ってしまうと、モチベーションの低下を引き起こす可能性もあります。
また、注意する時だけでなく、褒める時も他者を引き合いに出さないようにしましょう。たとえば、後輩が資料を提出してきた際に「○さんより早くできたね」「〇部の資料よりわかりやすいよ」と伝えるのは適切ではありません。「提出期限より2日早くできたね」「表やグラフを使っていて、以前作成してくれた資料よりわかりやすいよ」など事実と後輩の成長を評価しましょう。
後輩の意見・考えを聞く
後輩指導に当たっては、自分の仕事の進め方が一番正しいという思い込みを捨てましょう。はじめは業務のやり方を教えますが、後輩が業務に慣れてきたら「もっと効率的な方法はないかな?」など後輩の意見を聞いてみましょう。
後輩が必ずしも改善案を出せるわけではありませんが、後輩の意見を時々聞くことで後輩の自発性や課題発見能力の向上を促せます。
また、「この業務はできません…」など後輩がネガティブな発言をしたときは、「がんばれ」「そんなのは甘えだ」などで片づけず、なぜそう思うのか聞きましょう。後輩の考えを聞くことで、後輩の適性や業務の問題点が見つかることもあります。
一貫性のある指導をする
指導に一貫性をもつことも、気を付けたい点です。仕事を覚え始めたばかりの社員は、業務のやり方や仕事に対する考え方がころころ変わると混乱してしまいます。また、先輩への信頼度もさがってしまう可能性もあります。
筋が通った指導を心がけつつ、変更点があれば都度説明しましょう。
適度に自分から後輩に声をかける
指導後、実際に後輩が業務に取り組み始めたらあたたかく見守りましょう。その中で、作業に時間がかかりすぎている、または後輩に困っている様子があれば声をかけます。特に新入社員は「こんな些細なことを聞いてもいいのだろうか」と悩んで業務が止まってしまうケースがあります。こちらから声をかけることで、相談しやすい関係が築けます。
とはいえ、声のかけすぎも注意が必要です。ある程度後輩が自分で考えて解決することも大切なので、声かけは適度に行いましょう。
【悩み別】後輩指導に困ったときの対処法・指導方法
実際に後輩指導がはじまると、前述までのことを心がけても悩みは出てくるものです。後輩の性格を変えることは難しいのですが、「気づき」を与えることで行動が改善することがあります。
後輩に気づきを与える指導方法を悩み別に紹介します。
- ミスが絶えない後輩にイライラしてしまう
- 指示待ち状態の後輩にストレスを感じる
- やる気がない後輩の指導に疲れた…
- 後輩にネガティブフィードバックをしにくい
順に解説します。
ミスが絶えない後輩にイライラしてしまう
ミスを繰り返してしまう後輩の指導方法は、ミスをした時の後輩の反応で変えましょう。後輩に反省の色が見えない場合はミスの重大さを伝えますし、激しく反省しているようならまずは励まします。
どちらのタイプでも、注意を行った後にミスの原因と再発防止策を後輩に言語化させます。後輩にミスを減らすアドバイスとしては、以下があげられます。
- メモを取る
- 指導した後に内容を復唱する
- チェックリストを作成する
イライラしてしまう場合は、ミスは起こってしまうものと割り切ったり、後輩を成長させれば自分の指導スキルも向上するとポジティブにとらえたりすることで、ストレスを軽減できるでしょう。
指示待ち状態の後輩にストレスを感じる
自主的に動かない後輩にストレスを感じる場合は、以下の対処法がおすすめです。
- 本人の責任で遂行する業務を一つ与える
- 業務がおわったら必ず報告をさせて、次の業務を振る
後輩がある程度自分で考えて行う業務を割り振って自主的に動かざるを得ない状況にすると、能動的に動く癖がつきやすくなります。
また、指示待ちの後輩は、仕事の流れが分かっていないケースがあります。業務をどんどん振っていくことで、次に何をやるべきかわかるようになり、自分から業務に取り組む可能性が上がるでしょう。
やる気がない後輩の指導に疲れた…
後輩のやる気がないと、こちらばかりが熱心に指導していると感じて疲れてしまうことがあります。そういった場合は、後輩に以下の働きかけをしてみましょう。
- 評価を自分でつけてもらう
- 将来のことや後輩が興味のあること、得意なことを聞いてみる
本人評価をさせた後は、理由も聞きます。後輩の仕事に意欲が湧かない理由がわかることがあるためです。また、後輩の仕事に対する考えを聞くことで、やる気がないように見えて淡々と仕事をするタイプだったと気づくケースもあるでしょう。
後輩に将来のことや興味のあることを聞いて、今の業務が将来にどう結びつくのか話したり、後輩の強みが活かせそうな業務を担当させてみたりするのも一つの対処法です。
後輩にネガティブフィードバックをしにくい
ネガティブなことを言うと、「後輩はやる気をなくしてしまうのではないか」、あるいは「過度に落ち込んでしまうのではないか…」と思う人は少なくありません。この場合は、自分の意識を変えましょう。
社員一人ひとりが成長することで仕事の質が高まり、それが会社の利益につながります。つまり、会社の成長には社員の成長が必要不可欠なのです。
後輩の育成は、後輩自身と会社に大きなメリットがあります。このように考えれば、ネガティブな内容でも必要なことはしっかりと伝えるべきだと思えるでしょう。
ただし、フィードバックの仕方には注意が必要です。具体的なネガティブフィードバックの方法は、「注意をするときは伝え方を工夫する」を参考にしてください。
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後輩指導は自分も成長できるチャンス!
本記事では、後輩指導を行う上で心にとめておきたいことと、悩み別の対処法を紹介しました。後輩の育成は、改めて仕事の進め方や考え方を見直す機会になり、自分自身も成長することができます。
しかし、実際に後輩指導を行っていると悩むことも少なくありません。仕事に関するお悩みは、キャリア相談専門のスキルシェアサービス『coachee』にお任せください。
『coachee』はあらゆる分野のキャリアコーチが所属しているので、キャリア形成や転職など一般的なキャリア相談だけでなく、人間関係の相談もできます。現状の整理や後輩育成の進め方といったことをプロの視点でアドバイスしています。
後輩指導に悩みを抱えている方は、ぜひ『coachee』を活用してください。
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