【最新版】ハラスメントとは?種類や事例、対処法をわかりやすく解説

「今職場で嫌な思いをしているけど、これってハラスメントに当たるのかな?」
「ハラスメントを受けたらどこに相談したらいいのだろう」

このように悩んでいませんか?ハラスメントには、さまざまな種類があり、それぞれに特徴があります。ハラスメントを受けたときは、精神的に追い詰められないためや、働きやすさを取り戻すためにも、早期の対応が大切です。

本記事では、11種類のハラスメントを詳しく説明します。また、対処法や事例も解説しています。社外のハラスメントの相談窓口も紹介しているので、ハラスメントで困っている方はぜひ参考にしてください。

目次

ハラスメントとは?意味を解説

ハラスメントとは、相手が嫌がるような言動を繰り返し、精神的苦痛を与える行為です。職場では特に、セクシュアルハラスメント(セクハラ)やパワーハラスメント(パワハラ)が問題となっています。

厚生労働省の調査では、過去3年間にパワハラを経験した労働者は19.3%に上りました。また、過去3年間のハラスメント相談件数は、横ばいだと回答した企業が多数を占めています。

出典:職場のハラスメントに関する実態調査 結果概要|厚生労働省

【最新一覧表】ハラスメントの種類

ハラスメントは50種類以上存在するといわれていますが、主に以下の11種類があります。

  • パワーハラスメント(パワハラ)
  • セクシュアルハラスメント(セクハラ)
  • マタニティハラスメント(マタハラ)/パタニティハラスメント(パタハラ)
  • モラルハラスメント(モラハラ)
  • ロジカルハラスメント(ロジハラ)
  • エイジハラスメント(エイハラ)
  • ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)
  • アルコールハラスメント(アルハラ)
  • リストラハラスメント(リスハラ)
  • テクノロジーハラスメント(テクハラ)
  • ケアハラスメント(ケアハラ)

本項を読んで、各ハラスメントの理解を深めましょう。

1.パワーハラスメント(パワハラ)

パワーハラスメントは職場での優位な立場を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものを指します。具体的には、下記のような類型に分けられます。

  • 身体的攻撃
  • 精神的攻撃
  • 人間関係からの切り離しなど

例えば、部下に対して暴言を吐いたり、仕事を与えなかったりする行為がパワハラに該当します。

2.セクシュアルハラスメント(セクハラ)

セクシュアルハラスメントは、職場で行われる性的な言動に対して労働者が不快に感じるハラスメントです。男女雇用機会均等法により事業主には防止措置を講じる義務が課せられています。

具体例としては、不必要な身体接触、性的な冗談やからかい、性的な噂を流すなどが挙げられます。

3.マタニティハラスメント(マタハラ)/パタニティハラスメント(パタハラ)

マタニティハラスメントとパタニティハラスメントは、妊娠・出産・育児休業などを理由とした不利益な取り扱いや嫌がらせです。マタハラは女性、パタハラは男性が対象で、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法によって禁止されています。

例えば、妊娠を理由に降格させることなどがマタハラ・パタハラに当たります。

4.モラルハラスメント(モラハラ)

モラルハラスメントは、言葉や態度で行われる精神的な暴力や嫌がらせを指します。モラハラに該当するのは、相手の人格を否定するような侮辱や無視、暴言などです。

職場での具体例としては、仕事でミスをした人に対して「バカ」と発言したり、同僚の交友関係について「あんな人と付き合うなんて理解できない」といったりするケースが挙げられます。

5.ロジカルハラスメント(ロジハラ)

ロジカルハラスメントは、論理や理屈で相手を追い込み、精神的苦痛を与える行為を指します。正論を押し付けて相手を追い詰めてしまうのが特徴です。

例えば、部下のミスを過剰に叱責し「再発防止策はいつまでに考えられるか」と何度も問い詰める行為がロジハラに当たります。被害者は自信を失い、パフォーマンス低下につながります。

6.エイジハラスメント(エイハラ)

エイジハラスメントとは、年齢を理由に相手に対して決めつけや固定観念を押し付け、不快感を与える嫌がらせを指します。職場での具体例としては「これだからゆとり世代は」と非難するケースや「まだ若いんだから」と雑用を押し付けるケースが挙げられます。

また、30代以上の男女を「おじさん」「おばさん」と呼ぶのもエイハラです。被害者は年齢に関する事実を指摘されても仕方ないと思い、訴えにくい傾向にあります。

7.ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

ジェンダーハラスメントは、性別による固定観念や偏見に基づく言動や差別的な扱いです。具体例としては「女性だからお茶くみをして」「男性なら残業は当たり前」といった発言が挙げられます。

ジェンハラは被害者の自尊心を傷つけ、能力発揮の機会を奪ってしまう可能性があります。

8.アルコールハラスメント(アルハラ)

アルコールハラスメントは、飲酒にまつわる強要や迷惑行為全般を指します。具体的なアルハラは、飲み会への参加強制、一気飲みの強要などです。アルハラは健康被害や人間関係の悪化、業務への支障などの問題を引き起こします。

9.リストラハラスメント(リスハラ)

リストラハラスメントは、退職に追い込むための嫌がらせや不当な扱いなどです。具体的な行為としては、孤立させるケースが挙げられます。

リスハラは被害者に精神的苦痛や経済的損失、キャリアへの悪影響を及ぼす懸念があります。

10.テクノロジーハラスメント(テクハラ)

テクノロジーハラスメントとは、IT機器やシステムの操作が苦手な人に対する嫌がらせや差別を指します。ITに苦手意識のある労働者を攻撃するのがテクハラの特徴です。

例えば、社内で任意とされているデジタルツールの使用を強制したり、操作ミスを過度に非難したりする場合が挙げられます。

11.ケアハラスメント(ケアハラ)

ケアハラスメントとは、介護休業の利用の妨げや、不利益な扱いを指します。具体的な行為としては「介護休業するなら辞めてほしい」などの発言をするケースです。ケアハラは介護と仕事の両立を困難にし、離職につながる恐れがあります。

出典:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律|e-GOV 法令検索

ハラスメントの事例!裁判例をもとに解説

本項では、ハラスメントの裁判例を紹介するので、悩んでいる方は参考にしてみてください。

就業規則の書き写しを命じた事例

裁判例では、上司が現場労働者に就業規則の書き写しを命じ、本人が希望した水分補給を拒否し、書き写した就業規則を大声で読み上げるよう強要したケースがあります。

最高裁は、現場労働者の行為は軽微な就業規則違反にすぎず、就業規則の書き写しは教育訓練としての合理性に疑問があると指摘しました。上司の行為は業務命令の範囲を逸脱した違法なものであると判断し、上司と会社に慰謝料の支払いを命じました。

参照:東京高裁平成5年11月12日判決|公益社団法人全国労働基準関係団体連合会

産休・育休後に復帰したら降格された事例

別の事例では、理学療法士の女性従業員が妊娠中に軽易業務への転換を求めたところ、管理職の副主任から一般職員に降格されたといいます。育児休業後の復職時にも、副主任への復帰の機会は与えられませんでした。

最高裁は、意に反する降格などによって女性従業員が被った管理職の地位と手当がなくなったことに対する不利益を問題視しました。男女雇用機会均等法違反を理由に会社側の不法行為を認定しています。

参照:参照:最高裁平成26年10月23日判決|裁判所

ハラスメントを受けたときの対処法6選

ハラスメントを受けたときには、以下の対処法を取りましょう。

  • 可能なら「辞めてほしい」と伝える
  • 記録を取る
  • 信頼できる周りの人に相談する
  • 人事担当者に相談する
  • 社外の相談窓口に相談する
  • 法的処置を検討する

以下の項で詳しく解説します。

1.可能なら「止めててほしい」と伝える

ハラスメント行為を受けたら、まずは明確に拒否しましょう。例えば「そのような発言は不快ですので、辞めていただけますか」など具体的に伝えます。ときには加害者が無自覚な場合もありますから、冷静な対応を心がけてください。

言葉だけでなく、身振りや表情でも拒否の意思は示せます。ただし、相手の反応次第では、拒否の意思表示が難しいケースもあるため、無理をせずにほかの対処法を検討しましょう。

2.記録を取る

ハラスメント行為が発生したら、詳細に記録を残しておきましょう。後の相談や訴えの際に、記録が重要な証拠となる可能性があるためです。具体的には、日時や場所、内容、加害者、目撃者などを書き留めます。

スマートフォンのメモ機能やノートを活用するといいでしょう。音声の録音や、写真や動画での記録も有効な手段の一つです。

記録を取る際は、客観的な事実を中心にまとめ、感情的な表現は避けましょう。

3.信頼できる周りの人に相談する

ハラスメントの被害に遭っても、一人で抱え込む必要はありません。信頼できる同僚や上司への相談により、客観的な意見や助言を得られる場合があります。相談相手は、秘密を守ってくれる人を選びましょう。

信頼できる人への相談で、精神的な負担を軽減できる効果も期待できます。

4.人事担当者に相談する

社内でハラスメントを受けた場合、会社の相談窓口や人事部門に正式に相談するのも一つの方法です。これにより、会社としての対応方針や規定を確認できます。相談の際は、冷静に、記録した事実をもとに説明するよう心がけましょう。

5.社外の相談窓口に相談する

社内だけでは解決が難しいハラスメントのケースでは、外部の専門機関に相談するのも一案です。例えば、労働局や弁護士会などが相談に乗ってくれる場合があります。

中には匿名での相談も可能な窓口もあり、多くの場合無料で利用できます。第三者の立場から、客観的な意見や専門的なアドバイスがもらえるのが魅力です。

6.法的処置を検討する

ハラスメント行為が改善されず、継続している場合は法的措置の検討も必要です。具体的には、弁護士に相談し、訴訟や調停などの選択肢について助言を受けてください。

法的措置を視野に入れる場合、証拠や記録がより重要になります。できる範囲で記録を取っておいてください。

【社外】ハラスメントの相談窓口・相談先8選

職場でのハラスメントは、社内での解決が難しいケースも少なくありません。そのようなときは、以下の社外の相談窓口を活用してみるのも一つの手段です。

  • 総合労働相談コーナー
  • 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)
  • 都道府県労働委員会・都道府県庁
  • 法テラス
  • みんなの人権110番
  • カスタマーハラスメント・就活ハラスメント悩み相談室
  • かいけつサポート
  • こころの耳

ハラスメントで困っている方は、ぜひ参考にしてください。

1.総合労働相談コーナー

総合労働相談コーナーは、全国の労働局や労働基準監督署に設置された無料の相談窓口です。解雇や賃金、ハラスメントなど、労働問題全般に関する幅広い内容の相談を受け付けています。

専門の相談員が面談または電話で丁寧に対応してくれるので、安心して相談できるでしょう。必要に応じて助言・指導やあっせんなどの支援も実施してくれます。

2.都道府県労働局雇用環境・均等部(室)

都道府県労働局雇用環境・均等部(室)は、職場でのハラスメント対策の推進を担当する専門部署です。ハラスメントに特化した専門的な相談や助言を受けられるのが強みでしょう。

事業主に対する指導や是正勧告も実施しているため、会社としての対応が不十分な場合にも頼りになります。匿名での相談も受け付けており、プライバシーにも配慮してくれるので安心です。

3.都道府県労働委員会・都道府県庁

職場でのトラブルは、労働者と使用者との間で労働条件を巡って発生する場合が多い傾向です。そうした際に当事者間での解決が困難な場合、都道府県労働委員会が解決をサポートしてくれます。

また、都道府県庁の労政主管課でも、個別労働紛争へあっせんしているところがあるので、地域の窓口を探してみるのもいいでしょう。

4.法テラス

法テラスでは、問い合わせ内容に合わせて、解決に役立つ法制度や関係機関の相談窓口を無料で案内してくれます。以下の内容を幅広く紹介してもらえます。

  • ハラスメントに関連する法律
  • 相談できる地方公共団体、
  • 弁護士会
  • 司法書士会
  • 消費者団体 など

どこに相談すればいいのか迷っている方におすすめです。

5.みんなの人権110番

みんなの人権110番は、差別や虐待、パワーハラスメントなど、さまざまな人権問題の相談を電話で受け付けてくれる窓口です。問い合わせすると、電話をかけた地域の最寄りの法務局・地方法務局につながります。

人権の専門家が、プライバシーに配慮しながら親身に相談に乗ってくれるので、安心して利用できます。ハラスメントも立派な人権侵害ですから、ためらわずに相談してみるといいでしょう。

6.カスタマーハラスメント・就活ハラスメント悩み相談室

近年問題となっているカスタマーハラスメントや就活ハラスメントに特化した相談窓口が「カスタマーハラスメント・就活ハラスメント悩み相談室」です。キャリアコンサルタントや社会保険労務士などの資格を持つ専門相談員が、メールやSNS(LINE)で24時間無料の相談を受け付けてくれます。

7.かいけつサポート

かいけつサポートは、法務大臣の認証を受けた民間事業者が実施している、労働関係紛争の解決支援サービスです。当事者と利害関係のない公正中立な第三者が間に入ることで、話し合いを通した柔軟な解決を目指すのが特徴です。

司法の場に持ち込むほどではないものの、社内での自主解決が難しい場合に検討してみる価値があります。

8.こころの耳

こころの耳は、メンタルヘルス不調や過重労働による健康障害など、心の悩みを抱える労働者向けの相談窓口です。労働者だけでなく、家族や企業の人事労務担当者からの相談にも対応しています。

メールと電話で、ゆっくりと相談できる点が利用者からも好評です。カウンセリングのほか、セルフチェックツールやe-ラーニングなど、実践的なメンタルヘルスケアのヒントが得られます。

本項で紹介した以外にも社外のハラスメント相談窓口を以下の記事でも詳しく解説しているため、参考にしてください。

社外のハラスメント相談窓口を紹介!相談するのが怖い方向けの対処法も

ハラスメントを受けたときの4つのメンタルケア

ハラスメントを受けた際に適切なケアを怠ると、トラウマやPTSDなど長期的な心の傷を負ってしまう危険性があります。そのため、以下の4つのメンタルケアを行いましょう。

  • 専門家によるカウンセリングを受ける
  • 心身の状態を記録する
  • リラクゼーションを行う
  • 心を許せる人に悩みを話す

自分に合ったメンタルケアを試してみてください。

1.専門家によるカウンセリングを受ける

ハラスメント被害からの回復には、専門家によるカウンセリングは有効です。カウンセラーは被害者の感情を受け止め、客観的な視点からアドバイスをくれるため、心理的な負担を軽減しながら問題解決の糸口を見出せるでしょう。自己肯定感を取り戻し、ストレスへの適切な対処法を身につけることにもつながります。

また、職場の同僚には話しづらい内容も、外部の専門家なら安心して打ち明けられます。信頼できるカウンセラーとの継続的な対話を通じて、少しずつ心の傷を癒やしていきましょう。

2.心身の状態を記録する

ハラスメントのストレスに適切に対処するために、自分がどのようなストレス反応を示しているのかを把握しましょう。具体的には、1週間の活動記録をつけたり、1日の気分や思考を日記に書き留めたりします。

記録をつけると、ハラスメントによるストレスがどのように自分に影響しているのかが見えてきます。例えば、以下のような心身の変化に気づけるでしょう。

心の面悲しみ、憂うつ感不安感、イライラ感、緊張感無力感、やる気が出ない
体の面食欲がなくなる、やせてきた寝つきが悪い、朝早く目が覚める動悸がする、血圧が上がる、手や足の裏に汗をかく
行動の面消極的になる、周囲との交流をさけるようになる飲酒、喫煙量がふえる身だしなみがだらしなくなる、落ち着きがない
引用:ストレスへの気づき|こころの耳をもとに作成

自分の状態を客観視してストレスのサインに早めに気づき、適切な対処につなげましょう。

3.リラクゼーションを行う

ハラスメントのストレス反応を和らげるのに、リラクセーション法が効果的です。継続的な練習により、確実にストレス軽減のスキルが身につきます。

例えば「筋弛緩法(PMR)」は、全身に力を入れた後に、緩めることを意識的に繰り返し心身のリラックスを促します。10分ほどの時間で実践できるので、気軽に取り入れやすい方法です。

ほかにも「ストレッチ」も手軽に行えます。筋肉の緊張をほぐすと、身体的な開放感とリラックス効果が得られます。

4.心を許せる人に悩みを話す

ハラスメントの悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に打ち明けると精神的な負担の軽減につながります。親しい家族や友人など、職場とは異なる立場の人に相談するのも効果的でしょう。

また、悩みを言語化すると、自分の感情や状況が整理されて問題の本質が見えてきます。客観的なアドバイスにより、新たな解決策に気づく場合もあるでしょう。何より、一人ではないと実感でき、孤立感や無力感の解消を期待できます。

周りの人に頼ることに抵抗を感じるかもしれませんが、勇気を出して相談してみましょう。

ハラスメントの悩みを抱えているなら相談しよう

ハラスメントとは、相手が嫌がるような言動を繰り返し、精神的苦痛を与える行為です。トラウマにならないように、自分らしく働くためにも、ハラスメントを受けたときはすぐに対応しましょう。

しかし、職場でのハラスメントは、社内で解決するのが難しい場合もあるため、社外の相談窓口を活用するのも一つです。

「coachee(コーチー)」では、ハラスメントや職場の人間関係などの悩みをプロのコーチに相談できます。相談したい内容に合わせて専属コーチを見つけられます。

ハラスメントで悩んでいる方は、プロのコーチに相談をしてみてください。

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