社外のハラスメント相談窓口を紹介!相談するのが怖い方向けの対処法も
政府も問題視している会社内でのハラスメントは、いつ自分が当事者になるかわかりません。今ハラスメント問題に悩み、相談窓口を探している方もいるでしょう。
この記事では、職場でハラスメントを受けた場合の対処法や相談窓口一覧、利用方法についてまとめています。
高橋 秀誓
キャリアコンサルタント
coachee株式会社 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
プロティアン認定ファシリテーター
キャリア相談プラットフォーム『coachee(コーチー)』運営者
明治大学卒業後、リテール、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て総合人材サービス会社に勤務。
求人広告、人材紹介、人材派遣、SESにおける、ソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。エグゼクティブ,Web,IT,SI.HRにおけるリクルーティング支援、キャリア形成支援を行う。
相談実績は3500人以上。
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職場でハラスメントを受けたらまずは『ハラスメントの定義』を確認しよう
自分が受けているのがハラスメントなのか、まずは定義を確認しましょう。「ちょっとした注意なのかも」「悪気はないのかも」と思っているうちは、自分が受けている仕打ちを人に相談できないからです。
ハラスメントにはさまざまな種類がありますが、代表的なパワハラの定義を紹介します。
- 精神的・身体的な攻撃
- 過大・過小な要求
- 人間関係からの切り離し
- 個の侵害
パワハラの定義は精神的または身体的な行動、あるいは困難な業務を押し付けたり、逆に仕事をさせない過小な要求も該当します。また、同僚がみんなであなただけを無視して人間関係を切り離そうとしたり、あなたの権利を侵害するような場合もパワーハラスメントです。
職場でハラスメントを受けたときの相談窓口とは?利用できるハラスメント相談窓口を紹介
あなたが職場でハラスメントを受けた場合は、相談窓口を活用しましょう。
職場のハラスメントを相談できる窓口は以下3つです。
- 社内に設置されたハラスメント相談窓口
- 専門家が運営する社外ハラスメント相談窓口
- 厚生労働省や自治体が運営するハラスメント相談窓口
社内に設置されたハラスメント相談窓口
会社内に設置されたハラスメント相談窓口に、ハラスメント被害について相談できます。社内の状況を把握している人が相談に乗ってくれるため、あなたが置かれているシチュエーションを理解してもらいやすいのがメリットです。
一方でハラスメント相談窓口の担当者が同じ会社の社員であるため、相談内容が漏れたり上司を言いつけるようで相談しづらかったりするデメリットがあります。
専門家が運営する社外ハラスメント相談窓口
社内のハラスメント相談窓口を利用しづらい方は、専門家が運営している社外窓口を利用しましょう。ハラスメント相談のプロが在籍しており、客観的に状況を判断してハラスメントへの対処法をアドバイスしてくれます。
窓口の運営は弁護士事務所が運営している場合が多く、法的なことも質問できる点がメリットです。たとえばベンナビ労働相談では、あなたがお住まいの地域で相談できる弁護士を簡単に検索し、相談できます。ハラスメント問題を相談したいけど、誰に相談したら良いかわからない方はぜひ利用しましょう。
厚生労働省や自治体が運営するハラスメント相談窓口
厚生労働省や自治体など、国が運営しているハラスメント相談窓口も利用できます。
窓口名 | 特徴 |
---|---|
総合労働相談コーナー | ハラスメント問題はもちろん、職場で起きるトラブルを総合的に相談できる。各都道府県労働局、労働基準監督署に設置されている。 |
労働条件相談ほっとライン | 厚生労働省が東京リーガルマインドへ委託して作った相談窓口。ハラスメント相談については、内容を聞いて適切な窓口を教えてくれる。 |
法テラス | 無料で法律相談ができる総合案内所。ハラスメントについても適切な対策について相談できる。 |
みんなの人権110番 | 職場でのハラスメントや人権問題の相談窓口。法務局や支局で対面での相談も可能。 |
原則無料で利用でき、電話・対面でも相談可能です。
パワハラ防止法により設置が義務化
ハラスメントの相談窓口の設置は、パワハラ防止法改正により義務化されています。パワハラ防止法は事業主に対して、ハラスメントへの対策を義務付ける法律です。企業は相談窓口を社内に設けて周知するか、または、社外の専門機関に相談を委託しなければなりません。
仮に企業がパワハラ防止法上の義務を怠った場合、現時点では罰則は設けられていませんが、厚生労働省大臣の判断によって指導や勧告がおこなわれます。仮に事業主が指導や勧告に従わない場合は、企業名が公表されるリスクもあります。
ハラスメント相談窓口に寄せられる相談例
あなたが職場で受けているのがハラスメントに該当するかわからない方は、実際の相談例を参考にしましょう。
- 過大または過小な業務指示を受けている
- リーダー格の同僚社員を中心とした無視や陰口などのいじめを受けている
- 育児休暇を申請すると嫌味を言われる
過大または過小な業務指示を受けている
「職場で1人では到底こなせないほどの業務を押し付けられている」「まったく仕事を任せてもらえず、指示を仰いでも何も言われない」という相談も多いです。
こなせないほどの仕事量を押し付けるのは、上司などの優越的な立場を利用したハラスメントに該当します。また、同様に仕事を少なく与えて労働者に自信を失わせたり、何もさせないのもパワハラです。
リーダー格の同僚社員を中心とした無視や陰口などのいじめを受けている
上司だけでなく、同僚から無視や陰口などのいじめを受けているという相談も寄せられます。ハラスメントは優越的立場の上司や先輩が加害者と限定されるものではありません。無視や陰口によって人間関係の切り離しがおこなわれると被害者は孤立してしまい、職場で円滑に仕事ができなくなります。
いじめのような内容でももちろんハラスメントに該当するので、もしもあなたが被害を受けているなら相談窓口で申し出るべきです。
育児休暇を申請すると嫌味を言われる
女性にとって大切なライフイベントである妊娠・出産に関しての悩みも、多く寄せられています。たとえば育児休暇を申請したところ「周りに迷惑がかかるなあ」などと嫌味をいうのも、立派なハラスメントです。
育児休暇制度が会社にある限り、取得は社員の権利です。社員の権利を侵害するような言動は、ハラスメントに該当します。
ハラスメント相談窓口の利用フロー
あなたがハラスメント被害に悩んでいるなら、相談窓口を利用して今後の対応を考えましょう。具体的な相談窓口の利用フローは以下のとおりです。
- 窓口にハラスメント被害について相談
- 証拠の提示
- 行為者への事実確認
- 第三者への聴取
- ハラスメントの判定
- 企業側の行為者への対応
ハラスメント相談窓口は無料で利用できるので、まずは内容をまとめて電話または対面で相談を実施しましょう。ハラスメント被害が事実であることを証明するための証拠提出や行為者への事実確認、必要であれば同僚など第三者への聞き取りもおこなわれます。調査を経てハラスメント被害が事実であると認定されれば、窓口を通じて企業側へ被害が報告されその調査結果をもって企業が行為者に対して適切な対応を実施する流れです。
ハラスメント行為者への対応は企業によって異なりますが、懲戒や減給、内容が悪質であれば懲戒解雇もありえます。
ハラスメント相談窓口を利用する場合の注意点
ハラスメント相談窓口を利用する際は、以下の3点を整理しておくと相談がスムーズです。
- ハラスメントの証拠を可能な限り抑える
- いつ・誰から・どんな状況でハラスメントを受けているか整理する
- 自分の心身への影響なども説明できるようにしておく
ハラスメントの証拠を可能な限り抑える
相談者からの訴えをもとにハラスメント被害を認定すると、冤罪が発生しかねません。そのためハラスメント認定には、証拠の提出が必要となります。以下のようなハラスメントの証拠を可能な限り集めておきましょう。
- 音声・動画
- チャット・メール
- 第三者の目撃証言
音声・動画
ハラスメントされている最中に、可能であれば音声メモや動画を残しましょう。音声や動画はハラスメントの動かぬ証拠になるためです。相手からの罵倒や人格を否定するような言動が繰り返されている場合は、録音や録画で証拠を残しましょう。
チャット・メール
チャットやメールなど、文章でハラスメントを受けている場合は、文章をスクリーンショットするなどして証拠保全しましょう。その際にハラスメントを受けた日時が残るように、画面を撮影してください。チャットやメールは送信取り消しで証拠を消される可能性があるので、必ずスクリーンショットなどで保管しましょう。
第三者の目撃証言
録音や録画、スクリーンショットを残すのが難しい場合は、第三者の目撃証言が証拠になりえます。ハラスメントを受けている現場を目撃している社員がいれば、証言を頼みましょう。
いつ・誰から・どんな状況でハラスメントを受けているか整理する
あなたがいつ、誰からどんな状況下でハラスメントを受けているかメモなどして整理しましょう。ハラスメントの被害を時系列順にまとめておくと、相談窓口の担当者に状況が伝わりやすいです。
人は自分が受けた被害について話す際に、どうしても不安や怒りの感情が沸き起こりやすく、冷静に話ができません。相談前に「いつ・誰から・どんな状況で・どんな被害があったか」を書き起こすと、説明時にそのメモを見ながら話せるため、的確にハラスメントが起きたシチュエーションを伝えられます。
自分の心身への影響なども説明できるようにしておく
ハラスメントの内容だけでなく、あなたが感じている心身への影響も説明できるようにしましょう。「不安で眠れなくなった」「出社前に胃が痛くなったり、吐いたりする」など、ハラスメントに起因すると思われる症状は書き出しておいてください。
もしもすでに通院しており、医者から「ストレスでは」と言われた場合はその経緯を伝えましょう。
職場のハラスメントを窓口に相談するのが怖い場合
社内のハラスメントを迂闊に窓口に相談し「加害者に告げ口したと思われるのが怖い」と感じる方もいるはずです。その場合は、以下2つの方法で対策しましょう。
- 匿名で利用できる相談窓口を利用する
- 転職を検討する
匿名で利用できる相談窓口を利用する
あなたの名前を明かさずに匿名で利用できる相談窓口であれば、対策のみアドバイスを受けられます。また、会社にあなたがハラスメントを受けていることを連絡されることもないので安心です。
あなたが受けているのがハラスメントか知りたい、今後のアドバイスだけ欲しいという方は匿名で利用できる相談窓口にハラスメントについて聞いてみると良いでしょう。
転職を検討する
窓口でハラスメント被害を相談して相手が異動になったとしても、不安な状態が続くかもと不安な方もいるでしょう。また、誰にも相談できずハラスメントを受け続けていると心身のバランスを崩して仕事自体が難しくなるリスクがあります。
そんな方は退職も視野に入れて、今後のキャリアを考え直しましょう。また一から人間関係を構築して仕事を覚えるのは大変ですが、環境を変えれば気持ちよく働けるはずです。ハラスメント被害に悩んでおり、窓口への相談も不安でできない方は転職も検討してみてください。
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ハラスメント相談窓口についてのよくある質問
初めてハラスメント相談窓口を利用する方が抱えている不安や疑問を3つまとめました。
- 無料で利用できるハラスメント相談窓口はありますか?
- 24時間いつでもハラスメント相談ができる窓口を教えてください。
- 職場内ではなくカスタマーハラスメントについても窓口で相談できますか?
無料で利用できるハラスメント相談窓口はありますか?
ハラスメント相談窓口の多くは無料で利用できます。
以上の3つは無料でハラスメント相談ができる窓口なので、ぜひ利用してみてください。
24時間いつでもハラスメント相談ができる窓口を教えてください。
24時間いつでもハラスメント相談ができる窓口は、以下となります。
よりそいホットラインは電話やSNS、メールで24時間いつでも問い合わせできます。また、ベンナビ労働問題は待機している弁護士によって対応時間が異なりますが、深夜に相談可能な弁護士も紹介してもらえるのでぜひ利用しましょう。
職場内ではなくカスタマーハラスメントについても窓口で相談できますか?
カスタマーハラスメントについても窓口で相談可能です。例として2つの窓口を紹介します。
カスタマーハラスメントに悩む労働者、事業者からの相談も可能です。
職場でのハラスメントは相談窓口を利用して解決しよう
あなたが職場で理不尽な扱いを受けて苦しい状況にいるなら、一人で悩むのは今すぐやめましょう。一人で抱え込んでも状況は解決しません。ハラスメントを受けていると思うなら、相談窓口を活用してください。匿名で相談可能な窓口もあるので、告げ口のようだと罪悪感を感じる必要もありません。
どうしても職場のハラスメントを相談するのが怖い、会社にバレたら不安だと思うなら転職も手段の1つです。信頼できるキャリアコーチに相談すれば、あなたの今後のキャリアや転職のアドバイスをもらえます。
『coachee(コーチー)』なら、今後のあなたのキャリア相談を1回1,000円から受けられます。キャリア形成や実現、またパワハラを受けている会社への対応なども幅広く相談できるので、ぜひ利用してみましょう。
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