【2025年最新】職場でのハラスメントの種類9選!見極め方や対処法を解説

「上司の言動がハラスメントに当たるのかどうか判断できない…」
「セクハラなのか線引きが難しい。」
「ハラスメントを相談して職場の雰囲気が悪くなったらどうしよう。」
職場でのハラスメントは、判断や対応に迷うケースが多い傾向です。パワハラやセクハラ以外にも、さまざまなハラスメントがあるため、自分が受けているものがどの種類のものなのかわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では、職場で起こる9つのハラスメントの種類と具体例を解説します。さらに、見極め方から対処法まで紹介しますので、職場でハラスメントに悩む方は、ぜひ参考にしてください。
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職場のハラスメントとは?
職場のハラスメントは、相手に精神的な苦痛や不快感を与える嫌がらせ行為です。加害者の故意や悪意の有無に関わらず、相手の尊厳を損なう言動や威圧的な態度により傷つける行為が該当します。
例えば、上司が部下に人格を否定するような発言を投げかけたり、威圧的な態度で叱責を繰り返したりする行為がハラスメントです。
指導との違い
ハラスメントと指導は、目的に違いがあります。指導では相手の成長や能力向上を目指し、建設的な関係性を築こうとしますが、ハラスメントでは自分の意向を押し付ける態度が見られます。
特に、優位な立場にある人が、指導の名目で部下を自分の思いどおりに動かそうとする行為は、パワーハラスメントの典型例です。指導では、相手の意見に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを大切にしながら、建設的な関係性を築くため、ハラスメントとの違いがわかりやすいでしょう。
ハラスメントの定義や事例などは下記の記事で解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
【最新版】ハラスメントとは?種類や事例、対処法をわかりやすく解説
【一覧表】職場で起こる主なハラスメントの9つの種類!事例も解説
本項では、職場で起こるハラスメントの9つの種類を解説します。
ハラスメントの種類 | 内容 | 例 |
パワーハラスメント | 職場での優位性を利用して、業務の範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える行為 | ・暴力や暴言 ・必要以上に長時間労働を強いる ・仕事を与えない・無視をする |
セクシャルハラスメント | 相手の意に反した性的な言動により、働く環境を害する行為 | ・性的な冗談やからかい ・交際の強要 ・性的な関係の強要 |
マタニティハラスメント | 妊娠・出産・育児休業などを理由とした嫌がらせや不利益な取扱い | ・「ほかの人に迷惑がかかる」と言う ・育児休業取得を理由に昇進から外す ・「仕事を休んでいいですね」と皮肉を言う |
モラルハラスメント | 言葉や態度による継続的な攻撃で、相手の人格や尊厳を傷つける行為 | ・人格を否定するような暴言 ・私生活への干渉 ・無視や仲間外れ |
時短ハラスメント | 労働時間の短縮を強要するなどのハラスメント行為 | ・業務が終わっていないのに退社を強要する ・定時までに業務が終わらず叱責される |
ロジカルハラスメント | 正論を突きつけて精神的に追い詰める行為 | ・相手の話を聞かず自説を主張し続ける ・不勉強だと決めつけて侮辱する |
テクノロジーハラスメント | IT知識などがないことを理由に行ういじめや嫌がらせ | ・ITツールの使い方を教えない ・質問しづらい雰囲気を作る |
ジェンダーハラスメント | 性別を理由とした差別的な言動 | ・性別による役割の押し付け ・女性の昇進拒否 ・女性社員の意見を無視する |
リストラハラスメント | 解雇予告を受けた従業員に対するいじめや嫌がらせ | ・執拗に退職を勧める ・業務から外す ・必要な情報を伝えない |
以下の項で内容や例を解説します。
1.パワーハラスメント
パワーハラスメント(パワハラ)は、職務上の地位や人間関係などの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて相手に精神的・身体的苦痛を与える行為です。上司から部下への嫌がらせが典型例ですが、先輩・後輩間や同僚間でも起こり得ます。
具体的には、下記のような行為が挙げられます。
- 暴力や暴言
- 必要以上に長時間労働を強いる
- 仕事を与えない
- 無視をする
これらの行為によって、被害者は強い精神的ストレスを受け、ときには身体的な症状が現れる場合もあります。会社から退職に追い込まれるケースも珍しくありません。
パワハラは、上司の部下に対する指導との線引きが難しい特徴があります。感情的になって怒鳴るなどの行為は、指導を超えたパワハラと言えるでしょう。
2.セクシャルハラスメント
セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、相手の意に反した性的な言動により、働く環境を害するハラスメントの一種です。男性から女性へのセクハラが多いイメージですが、女性から男性、同性間でも起こり得ます。
代表的なセクハラの例としては、下記が挙げられます。
- 性的な冗談やからかい
- 交際の強要
中でも、性的な関係を強要したり、拒否したことで不利益な扱いをしたりするのはセクハラに当たります。
3.マタニティハラスメント
マタニティハラスメント(マタハラ)とは、女性社員の妊娠・出産・育児休業などを理由とした嫌がらせや不利益な取扱いを指します。「女性だけの問題」と片付けられがちですが、育児休業を取得する男性も被害に遭うケースがあります。
例えば、下記のような行為がマタハラです。
- 上司が妊娠した社員に対し「ほかの人に迷惑がかかる」と言う
- 育児休業の取得を理由に昇進から外す
そのほか、同僚が「仕事を休んでいいですね」と皮肉を言うなど、職場の雰囲気を悪くする行為もマタハラの一種です。
4.モラルハラスメント
モラルハラスメント(モラハラ)とは、言葉や態度による継続的な攻撃によって、相手の人格や尊厳を傷つける行為を指します。身体的な暴力を伴わない、精神的な嫌がらせが特徴です。
具体的には、以下のような言動が挙げられます。
- 人格を否定するような暴言
- 業務とは関係のない私生活への干渉
- 無視や仲間外れ
相手の些細なミスを執拗に責め立てたり、差別的な発言を繰り返したりするとモラハラになります。
5.時短ハラスメント
時短ハラスメント(ジタハラ)は、労働者に対して不当に労働時間の短縮を強要する行為です。例えば、以下の言動はジタハラに当たる可能性があります。
- 業務が終わっていないにもかかわらず退社を迫る
- 定時までに仕事を終えられなかったことで上司から叱責される
また、残業時間を自己啓発に充てている従業員に対して、定時退社を促すようなケースもジタハラに該当します。
6.ロジカルハラスメント
ロジカルハラスメント(ロジハラ)は、相手の話を一方的に否定し、正論を押し付けて、精神的に追い詰める行為を指します。表面的には正論を述べているように見えるため、ハラスメントだと認識されにくい点が特徴です。
例を挙げると、以下のような言動です。
- 相手の話を聞かずに自説を主張し続ける
- 不勉強だと決めつけて、相手を侮辱する
こうした行為が繰り返されると、被害者は萎縮し、仕事に対して消極的になりがちです。
ロジハラを受けている場合には「上司の言うことだから間違いないはず」「自分が悪い」と考えずに周りに相談しましょう。
7.テクノロジーハラスメント
テクノロジーハラスメント(テクハラ)は、IT知識やスキルがないことを背景にしたいじめや嫌がらせです。パソコンの操作になじめない年配の社員に対して、若手社員が馬鹿にしたり、サポートを拒否したりするなどが典型例です。
そのほかにも、下記のような内容もテクハラに当たる恐れがあります。
- ITツールの使い方を教えない
- マニュアルを作成しない
新しいシステムの導入時に、研修を十分に行わないことも、テクハラの一種だと言えるでしょう。
8.ジェンダーハラスメント
ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)とは、性別を理由とした差別的な言動を指します。男女雇用機会均等法で禁止されている男女差別に当たる行為が該当します。
例えば、下記の内容がジェンハラです。
- 女性には茶くみ、男性には残業を強要する
- 女性の昇進を拒否する
性別による差別的な考えを無意識にもっている人に多いハラスメントです。
9.リストラハラスメント
リストラハラスメント(リスハラ)とは、解雇予告を受けた従業員に対するいじめや嫌がらせを指します。例えば、以下のような言動がリスハラに当たります。
- 自主退職を迫る目的で、執拗に退職を勧める
- 辞めさせるために業務から外す、仕事を与えない
リスハラの特徴は、退職強要の手段としてパワハラが用いられる場合があることです。社員を追い込むために、人格を否定するような暴言を吐いたり、不当な業務命令を繰り返したりします。
ハラスメントの見極め方
リクルートワークス研究所の全国就業実態パネル調査によると「パワハラ・セクハラを受けたという話を見聞きしたことがあった」の項目について「どちらとも言えない」と回答した人は21.3%と報告されています。受けている本人や周りなどが判断できないケースもあるため、見極める基準を知っておきましょう。
- 働きにくいなどのデメリットを被っているか
- 第3者から見てハラスメントと判断できるか
- 正当な理由がないか
以下の項で詳しく解説します。
出典:世代別に認識差あるハラスメント、問題意識の共有を ―データで考えるハラスメント問題― 茂木洋之|リクルートワークス研究所
働きにくいなどのデメリットを被っているか
まず、ハラスメント行為によって働きづらくなったり、働けない状況に追い込まれていないかという点を確認しましょう。
その際は、残業の押し付けや不当な評価など、行為そのものが不利益となるケースだけでなく、肉体的・精神的な苦痛からくる働きづらさも確認します。被害を時系列でノートに書き出してみると、状況が整理しやすくなるでしょう。
第3者から見てハラスメントと判断できるか
ハラスメントを受けているときは「上司の期待の裏返しかもしれない」「自分にも非があるのでは」と考えてしまい、被害を自分の責任ととらえがちです。冷静な判断が難しい傾向にあるため、客観的に見てハラスメントと判断できるかを確認しましょう。
その際は、できるだけ多くの人に相談し、具体的な言動を伝えてみましょう。第三者の目から見れば、明らかに不適切な行為だとわかる場合もあります。信頼できる人の意見を積極的に求めてください。
正当な理由がないか
「理不尽な言動をされたけど、ハラスメントか判断がつかない」という場合は、理由を尋ねてみると良いでしょう。相手のためを思って行ったことなのか、自分本位での行動なのかを確認することで、判断できる場合があります。
例えば、業務上の必要があり、適切な指導をしていると釈明されるかもしれません。しかし説明もなく、暴言で従わせようとするときは、ハラスメントの可能性が高いと考えられます。
ハラスメントの見極めは簡単ではありませんが、判断基準をもとに冷静に状況を見つめ直しましょう。違和感を大切にしつつ、さまざまな観点からハラスメントかどうかを見極めてください。
ハラスメントを受けたときの4つの対処法
もしハラスメントを受けていると感じたら、一人で抱え込まず、適切な行動を取りましょう。本項では、具体的な対処法を4つご紹介します。
- 記録を取る
- 信頼できる人に相談する
- 相談窓口を利用する
- 法的対応を検討する
以下の項で詳しく解説します。
1.記録を取る
ハラスメントを受けたと感じたら、日時や場所、行為者、内容などを詳しく記録しましょう。手書きのメモやスマートフォンのメモ機能、録音・録画などを活用します。
正確かつ時系列に沿った記録を心がけ、第三者の証言があれば、記録に加えます。後々、証拠として役立つ可能性があるため、きちんと保存しましょう。
2.信頼できる人に相談する
家族や友人、職場の同僚や上司など、信頼できる人への相談もハラスメントの対処法としておすすめです。一人で問題を抱え込むと、心身の負担が大きくなります。冷静に事実を伝え、一緒に解決策を考えてくれる相手を見つけましょう。
悩みを言語化して誰かに伝えるだけでもスッキリする場合もあるため、少しでも相談することをおすすめします。
3.相談窓口を利用する
社内外の専門相談窓口を利用するのも有効です。会社の相談窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーなどでは、ハラスメント被害の相談に乗ってもらえます。
匿名での相談も可能な場合があり、安心して依頼できる環境が整っているので、下記のような窓口をぜひ活用してみてください。
相談窓口 | 特徴 |
総合労働相談コーナー | ハラスメントなどの労働問題に関する悩みを電話で相談できる |
みんなの人権110番 | 差別や虐待、ハラスメントなどの人権問題の相談を受け付けている |
相談窓口は、下記の記事で詳しく解説しているため、活用してみてください。
社外のハラスメント相談窓口を紹介!相談するのが怖い方向けの対処法も
4.法的対応を検討する
ハラスメントが深刻で解決が難しいと感じたら、法的対応も検討してください。弁護士など専門家に相談し、適切な措置を取ってもらいましょう。証拠となる記録をしっかりと保管し、連携しながら進めてください。
ちなみに、パワハラ解決を目的として労働審判制度(労働問題を解決するために原則3回の期日で審判を下す制度)を利用することも可能です。損害賠償請求の対象になることもあるため、問題が解決しないなら利用しましょう。
参考:労働審判手続|裁判所
【管理職向け】ハラスメントの相談を受けたらやるべきこと5選
管理職は、部下からハラスメントの相談を受けた際、対処する責任があります。被害者に寄り添った対応が求められるでしょう。
本項では、管理職がやるべき5つのことを解説します。
- 共感しながら話を聞く
- 相談者の安全を確保する
- 事実を確認する
- 会社に報告する
- 加害者の処遇を決める
以下の項で詳しく解説します。
1.共感しながら話を聞く
ハラスメントは、被害者にとって相談しづらい問題です。勇気を出して打ち明けてくれた部下の気持ちを受け止め、共感の姿勢を示しましょう。
丁寧に事情をヒアリングし、被害者の心情に寄り添いながら、誠意をもって対応してください。被害が長期化・深刻化するケースもあるため、早めの相談を歓迎する姿勢も示しましょう。
2.相談者の安全を確保する
ハラスメントのさらなる被害や加害者からの報復を防ぐために、措置を速やかに講じる必要があります。
加害者との物理的な距離を取るため、状況に応じて配置転換や勤務時間の変更などを検討しましょう。被害者の不安に寄り添い、安全の確保を最優先にしてください。
3.事実を確認する
被害者からの聞き取りに加え、第三者の証言や記録の裏付けを取るなど、客観的な事実関係を把握しましょう。パワハラやセクハラの事実が明らかになれば、速やかに会社に報告し、組織としての対応を協議します。
冤罪が起こる場合もあるため、証拠や目撃者を確認しながら、事実関係を慎重に見極める必要があります。
4.会社に報告する
「ハラスメントを相談されたが、決定権がない」という場合は、上司に事実を報告しましょう。内容や程度に応じて、加害者への処分を検討してください。
ただし、加害者の言い分にも十分耳を傾け、慎重に処分内容を決定する必要があります。安易な処分は、かえって職場の混乱を招く場合もあるため注意しましょう。
5.加害者の処遇を決める
パワハラの加害者に対しては、適切な処分を検討し、実行に移す必要があります。加害者の弁解の内容や反省の度合い、再発防止に向けた本人の意欲などを総合的に考慮し、状況に見合った処遇を決定しましょう。
例えば、一時的な感情の昂ぶりから些細な暴言を吐いてしまったケースでは、反省を促し再発防止を誓約させたうえで、厳重注意にとどめることも考えられます。一方、暴力や執拗な嫌がらせを繰り返すなど悪質な事案では、懲戒処分や降格、解雇も視野に入れる必要があるでしょう。
職場でのハラスメントに悩んでいるならcoachee(コーチー)に相談を
ハラスメントとは、相手に精神的な苦痛や不快感を与える行為です。パワハラやセクハラ、マタハラなど、9つの種類があります。特に最近では、時短ハラスメントやテクノロジーハラスメントなど、新しい形のハラスメントも増えているため、本記事の内容を参考に種類を見極めてください。
ハラスメントを見極める際には「働きにくさを感じているか」「第三者から見ても不適切か」などの基準で判断してください。また、被害を受けた際は、信頼できる人に相談し、必要に応じて専門家のサポートを受けましょう。
職場のハラスメントで悩んでいる方には、一人で抱え込まず、専門家への相談をおすすめします。
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