異動希望が通らない理由は?わがままかどうかの線引きと、出したあとの気まずさを減らす順番

異動希望が通らない理由は?わがままかどうかの線引きと、出したあとの気まずさを減らす順番

異動希望を出したのに通らなかった。あるいは、出すかどうかで止まっている。そんなとき、まず疑ってしまうのは自分の伝え方かもしれません。書き方が悪かったのか、言うタイミングを間違えたのか、そもそも希望を出すこと自体がわがままだったのか——と考え込んでしまう人は少なくありません。

けれど、異動の配置が決まる過程には、本人からは見えない部分がかなり含まれています。見えないものを相手に、自分の振る舞いだけを材料に原因を探すと、答えの出ない問いをずっと抱えることになります。

この記事では、異動希望が通らない理由のうち本人に返ってこない部分を整理したうえで、「わがままかどうか」を3つに分けて見る方法、出したあとに職場で気まずくなったときの過ごし方、そして次にもう一度出すか外を見るかを決める物差しまでを順番にまとめます。

目次

異動希望が通らないときに、最初に切り分けたい2つの問い

異動希望が通らなかったあとに頭に浮かぶ問いは、たいてい2つが混ざっています。この2つは性質がまったく違うので、先に分けておくと考えが進みやすくなります。

  1. なぜ通らなかったのか(過去の、会社側の事情に関する問い)
  2. これからどうするか(これからの、自分の選択に関する問い)

1つ目は、答えが自分の外側にあります。人員の空き、後任の有無、部署ごとの人数計画。どれも本人の手元にない情報です。調べられる範囲には限りがあり、時間をかけても確信までは届きにくい問いです。

2つ目は、答えが自分の側にあります。もう一度出すのか、期限を決めて待つのか、外を見始めるのか。こちらは今日から手をつけられます。

※ 1つ目に時間を使いすぎると、2つ目に手が回らないまま次の異動の時期が来てしまいます。1つ目は「分かる範囲まで」と区切るのが現実的です。

異動希望が通らない理由は、伝え方だけでは決まらない

異動希望について書かれた記事の多くは、通らない原因を「伝え方」「上司との関係」「出すタイミング」に置いています。そこは確かに影響しますが、それだけで決まっているわけではありません。配置が決まる順番を見ると、本人が動かせる範囲がどのくらいかが見えてきます。

本人の側と会社の側で見えている材料の量が違い、希望は届くが理由は返らないことを片側だけ見える窓で示した図
見えている材料の量が、左右で違っている

配置はまず「空いているかどうか」から決まる

希望先の部署に枠が空いていなければ、希望の出し方がどれだけ整っていても動きません。枠が空くのは、誰かが抜けたとき、組織が増えたとき、業務量が変わったときです。いずれも個人の努力の外側で起きます。

逆に言えば、同じ希望でも出した年によって結果が変わります。去年通らなかったことが、今年の通らなさを意味するとは限りません。

「抜けられると困る」は評価が低いという意味ではない

現部署で中心的に回している業務があると、後任の用意ができるまで動かせない、という判断が働くことがあります。これは評価が低いから残されているのではなく、むしろ逆の事情から来ていることもあります。

ただし、本人にはその理由が伝えられないため、残された側からは「希望を軽く扱われた」としか見えません。見え方と事情が食い違うのは、情報が片側にしかないからです。

通らなかった理由は、本人にはほとんど返ってこない

人事異動の検討内容は、他の社員の配置や退職予定と結びついています。そのため、通らなかった理由を細かく説明されることはまずありません。返ってくるのは「今回は見送り」「もう少し今の部署で」といった短い言葉です。

この短さが、本人に「自分の何かが足りなかった」と読ませます。けれど説明が短いことと、理由が本人にあることは別の話です。

情報の量が片側に偏っている場面では、少ないほうの側が自分を疑いやすくなります。会社側は全体の配置を見ていて、本人は自分の希望しか見えていない。この差があるかぎり、本人の側だけで答えを出すのは難しいままです。

※ 上司に理由を尋ねること自体は問題ありませんが、返ってきた言葉が理由のすべてとは限らない、という前提で聞くほうが消耗しません。

「異動希望はわがままなのか」を3つに分けて見る

希望を出すこと自体をためらう理由として多いのが、「これはわがままではないか」という引っかかりです。この問いは、そのままの形だと答えが出ません。何を変えたいのかによって、話がまったく変わるからです。

動かしたいものを、次の3つのどれなのかに割ってみてください。

  • 場:人間関係、働く環境、場所や時間の条件
  • 仕事内容:日々の業務そのもの、求められる動き方
  • キャリアの向き:何年か先に身につけていたいもの

場を変えたいとき

特定の人との関係や、部署の空気が理由の場合です。このとき大事なのは、希望先に移れば解けるのか、それとも職場全体に同じ傾向があるのかを見ておくことです。

同じ会社の別部署に移って解けたという人もいれば、部署が変わっても似た場面に当たった人もいます。過去に異動した人がどうだったかを一人か二人ぶん聞けると、見通しの精度が上がります。

仕事内容を変えたいとき

業務そのものが合っていないと感じる場合です。この理由は会社側にとっても扱いやすく、希望として伝えやすい部類に入ります。

ただし「今の仕事が嫌だ」で止めると、受け取る側は動かしようがありません。今やっている業務のうち、どの作業が合っていて、どれが合わないのか。そこまで分けて言えると、配置を考える材料になります。

キャリアの向きを変えたいとき

何年か先に身につけていたいものがあって、今の部署ではそこに届かない、という場合です。3つのなかでは最も通りやすい一方で、会社側の育成計画と噛み合うかどうかに左右されます。

この3つのうち、どれが主で、どれが従なのか。それを自分で言えるようになった時点で、「わがままかどうか」という問いはほとんど意味を失います。わがままかどうかは、希望の中身ではなく、伝わり方の問題として扱われているだけだからです。

\どれが主なのか、一人だと決めきれないときに/

異動希望を出す前に書き出しておく3つのこと

希望を出す前にやっておくと、通らなかったときにも手元に何かが残ります。手順は次の3つです。

机の上に開かれたノートとペン
  1. いまの業務を、作業の単位まで分けて書き出す
  2. 異動先でやりたいことを、動詞で書く
  3. 異動以外の方法で解けるかを確かめる

いまの業務を、作業の単位まで分けて書き出す

「営業」「経理」といった大きな名前ではなく、実際に手を動かしている作業の単位まで分けます。一週間ぶんを思い出しながら、20行ほど並べてみてください。

並べたら、合っているものに丸、合わないものに三角を付けます。三角がどこに固まっているかで、変えたいのが仕事内容なのか場なのかが見えてきます。

異動先でやりたいことを、動詞で書く

「企画に行きたい」は部署名であって、やりたいことではありません。部署名ではなく動詞で書くと、希望の中身が相手に伝わります。

たとえば「数字を見て打ち手を決める」「社外の人と条件を詰める」「作ったものを改善し続ける」。こう書けると、希望先が埋まっていた場合でも、近い業務を含む別の部署が候補に挙がることがあります。

異動以外の方法で解けるかを確かめる

担当の入れ替え、兼務、プロジェクトへの参加。異動よりも小さな単位で動くほうが早いことがあります。小さく動いて合わなければ、そのときに異動の話を出せばよく、判断材料も増えています。

小さく動いた記録は、次に希望を出すときの裏づけにもなります。「やりたいと言っているだけ」と「近い業務を半年やってみた」とでは、同じ希望でも受け取られ方が変わるためです。

仕事の中身そのものに迷いがある場合は、仕事がつまらないまま続けるか辞めるかの決め方も合わせて見ておくと、異動で解ける部分とそうでない部分が分けやすくなります。

異動希望を出したあとが気まずいときの過ごし方

希望を出したことが上司や同僚に知られ、そのまま現部署に残ることになった。この局面は、通る通らない以上に重く感じられることがあります。けれど、ここについて書いている記事はほとんどありません。

「裏切り」と受け取られたように感じるとき

希望を出すことは、制度として用意されている行為です。制度に沿って動いたことが裏切りになるなら、その制度は成り立ちません。

それでも空気が変わったと感じるときは、相手の反応が「人としての評価」なのか「目先の人員計画が崩れた焦り」なのかを分けてみてください。後者であれば、時間とともに落ち着くことがほとんどです。

現部署での仕事の質は落とさない

気まずさから手を抜きたくなる時期ですが、ここで質が落ちると、次に希望を出したときの材料まで失われます。希望を出した人が現部署でどう振る舞ったかは、思いのほか見られています。

とはいえ、今まで以上に頑張る必要はありません。これまでと同じ水準を保つ、それだけで十分です。

引き継ぎに使える資料を少しずつ整えておくのも、この時期に向いています。後任がいないことが足止めの理由になっているなら、その理由を自分の側から薄くしていける作業だからです。結果として次の機会に動きやすくなります。

言わなければよかった、とは考えない

希望を伝えたという事実は、記録として残ります。次の機会に「前回も出していた」という前提から話を始められるのは、出していない人との明確な違いです。

一度で通らなかったことを、出したこと自体の失敗として扱わないでください。

もう一度出すか、外を見るかを決める物差し

通らなかったあと、いつまで待つのかを決めないままにしておくと、毎年同じ季節に同じ気持ちになります。期限と条件を先に決めておくと、迷う時間が短くなります。

ブラインド越しに外が見えるオフィスの窓

次の機会までの期間で区切る

多くの会社では、希望を出す機会は年に1回か2回です。「次の1回は出す。それで動かなければ外も見る」と決めておくと、待っている期間が宙ぶらりんになりません。

期間を決めるときは、年数ではなく回数で数えるほうが現実に近くなります。

会社側の事情が変わる見込みがあるか

希望先の部署が縮小しているのか、増えているのか。自分の後任になりうる人が入ってきているのか。こうした動きがあれば、待つ意味があります。

反対に、組織の形も人員も数年変わっていないのであれば、来年だけ変わる理由は見つけにくいかもしれません。

見込みを確かめる手がかりは、社内の募集情報や組織図の更新、中途採用のページなど、公開されている範囲にもあります。希望先が人を採っているなら、枠が動いている合図です。

待つあいだに失うものを数える

待つことには費用がかかります。やりたい業務に触れないまま過ぎる時間、その間に積めたはずの経験。こうしたものは目に見えないぶん、計算から抜け落ちがちです。

いま手元にある経験を一度並べておくと、待つ・動くのどちらを選んでも判断がぶれにくくなります。並べ方そのものに迷う場合は、キャリアの棚卸しシートの記入項目と記入例が使えます。

※ 外を見ることと、辞めることは別です。見たうえで残る選択もあり、その場合でも「残ると決めた」という形に変わります。

一人で決めきれないときは、第三者と並べて整理する

異動希望は、社内で相談しにくい話です。上司に話せば人員計画の相手になり、同僚に話せば現部署での立場に関わります。利害のない相手が社内にいないまま、一人で考え続けることになりがちです。

coacheeは、キャリアに特化したスキルシェア型のプラットフォームです。転職・就職・副業から、現職での動き方の悩みまで、専門のコーチに単発で相談できます。月額の契約を結ばずに、1回だけ使うこともできます。

「場・仕事内容・キャリアの向き」のどれが主なのかを言葉にする作業は、話しながらのほうが早く進みます。実際にどんなやりとりになるのかは、coachee利用者のインタビューやメンタルコーチングの記事が参考になります。

まとめ

異動希望が通らないときに持ち帰りたいのは、次の3点です。

  1. 通らない理由の多くは枠と後任の事情にあり、本人には返ってこない
  2. 「わがままか」は、場・仕事内容・キャリアの向きの3つに割ると問いが消える
  3. 次の1回までの期限と、待つあいだに失うものを先に決めておく

通らなかったという結果だけが手元に残ると、原因探しが長引きます。結果とは別に、書き出した業務の一覧と、動詞で書いた希望が残っていれば、次の機会にも外を見るときにも、そのまま使えます。

\次の1回に向けて、何から整理するか話してみませんか/

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