マネジメント能力を向上させるには?具体的なスキルと身につける方法
マネジメント能力をつけることで、今の会社でよりステップアップしたポジションへついたり、転職の際に管理職候補として期待の人材として採用される可能性を高められます。
しかし、いざ「マネジメント能力とは何か」を考えても、どうしたら能力を上げられるかわからない方もいるでしょう。
この記事では、マネジメント能力の概要や向上が必要な理由、マネジメントに必要なスキルの伸ばし方を紹介します。
高橋 秀誓
キャリアコンサルタント
coachee株式会社 代表取締役
国家資格キャリアコンサルタント
プロティアン認定ファシリテーター
キャリア相談プラットフォーム『coachee(コーチー)』運営者
明治大学卒業後、リテール、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)を経て総合人材サービス会社に勤務。
求人広告、人材紹介、人材派遣、SESにおける、ソリューション提案、事業統括、会社設立等に従事。エグゼクティブ,Web,IT,SI.HRにおけるリクルーティング支援、キャリア形成支援を行う。
相談実績は3500人以上。
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そもそもマネジメント能力とは
マネジメント能力とは、組織に成果を上げさせるためのスキル全般です。
経営者やマネージャーに必須のスキルであり、あなたが将来会社で昇進してより上位のポジションにつきたいのなら、必ず身につけなければなりません。
具体的にマネジメント能力とは、チームに課せられた目標を達成できるようなチームビルドをする能力です。チーム員に声をかけてモチベーションを上げたり、目標達成のためにチーム員が仕事をしやすい仕組み作りをします。また、スケジュールの管理やタスク、進捗管理もマネジメント能力に含まれます。
なぜマネジメント能力の向上が必要なのか?
あなたが今の会社で働き続けると想定した場合に、今のポジションを維持しているだけでは、これ以上のポジションは望めません。ポジションが上がらないと仕事の満足度も下がり、また年収も上がらないでしょう。仕事における満足度を上げるためにも、マネジメント能力を磨く必要があります。
もちろん今の会社で昇格するためだけでなく、マネジメント能力がある人材は転職でも有利なので、より良い会社を目指す上でも重要です。採用側は将来マネージャーになれる可能性がある人材であれば、積極的に採用したいと考えます。入社後の期待値も高くなるため、重要な仕事を早く任せてもらえるなど、やりがいのある仕事ができるでしょう。
マネジメントに必要なスキルとその向上方法
マネジメント能力とは、具体的に以下のようなスキルを指します。スキルの概要とその向上方法を解説するので、仕事をするうえで常に意識してマネジメントスキルを磨きましょう。
- コーチングスキル
- コミュニケーションスキル
- 人材育成スキル
- タスク管理スキル
- アセスメントスキル
- ファシリティーションスキル
- 問題解決スキル
- 業務遂行スキル
コーチングスキル
マネジメント能力には、コーチングスキルが含まれます。コーチングスキルとは人を教え導くためのスキルで、チームビルドやチーム員のモチベーション管理に欠かせません。答えを提示して指示を出し、言う通りに行動させるのではなく、チーム員それぞれに自発的に考えさせ、行動させるスキルを磨きましょう。
まずは、人の話を最後まで聞くこと、相手に考えさせる質問をすることを意識しましょう。
例えば、業務についての相談された際に「問題点はどこだと思う?どういう状況になれば、仕事がしやすいと思う?」など、すぐに答えを出さずに、相手に発言させるようにしてみてください。
コミュニケーションスキル
マネジメントにはコミュニケーションスキルも欠かせません。
部下と適切なコミュニケーションが取れないと、部下が萎縮してしまったり、あなたを舐めたりしてチームをまとめ上げることができないでしょう。
コミュニケーションスキルを上げるために重要なのは、傾聴力と伝え方です。人の話を遮らずに、とにかく聴くことだけに集中しましょう。また、伝え方のスキルを上げるには、人それぞれコミュニケーションのタイプがあることを意識してみてください。
例えば、人には結論から話すタイプの人と、前提から話す人がいます。人の話し方は「その人が最も理解しやすい話し方の順番」です。つまり、前者の人には結論ファーストで話し、後者の人には前提を説明してから結論に至るように話した方が、理解しやすくなります。
人材育成スキル
人材育成に関するスキルもマネジメントに欠かせません。まず人材育成とは部下のモチベーションを上げて、能動的に仕事に取り組むように成長を促すことです。人材育成には先述したコミュニケーションスキル、コーチング力が必要です。
また、人材育成のためには部下の現状のスキルや立ち位置を見極めて、適切な目標を設定する必要があります。例えば、作業は丁寧だが業務が遅く他の人員より進捗が悪い部下がいた場合には、その部下の長所を認めたうえで遅くなっている原因を特定し、改善を促すような指導が必要です。
日頃から周囲にいる人を観察し、その人が得意なことと苦手なことを見極める癖をつけましょう。そして、その人の問題点を解決するために何が必要か考えてみてください。
タスク管理スキル
マネジメントスキルには、チームのタスクを把握して適切に業務が進行しているか把握するスキルも必要です。チームを管理するうえでは、自分のタスクだけでなく、全体のタスクを管理しなければなりません。
タスク管理スキルを伸ばすには、まず日常的にあなたのタスクを完璧に管理しましょう。まず職場で1日にあなたがこなすべき仕事をリストアップし、時間を決めてスケジュール通りにこなす訓練を始めましょう。予定通りに行けば更なる効率化を、予定より遅れた場合は原因を考えて、修正作業をしてください。徐々に管理するタスクを増やしていくことで、タスク管理スキルを上げられます。
アセスメントスキル
アセスメントスキルとは、評価や査定をするスキルです。マネージャーはチームが円滑に業務を遂行できるように環境を作る役割です。そのためには、チームを構成する人員のスキルや勤務態度、性格を正しく評価してチームビルドする必要があります。
アセスメントスキルを伸ばすには、まず感情を排除して客観的に人を観察する癖をつけましょう。好き嫌いの感情が介在すると、正しく評価ができないからです。例えば、あなたの同僚を「勤務態度は良く、コミュニケーションもうまい。しかし、業務では不注意が目立ち事務仕事は苦手」などと評価してみましょう。そして、その評価が正しいかどうかもチェックし、万が一誤っていた場合は修正します。この行程を繰り返すうちに、徐々に人を評価・査定するスキルがついてきます。
ファシリティーションスキル
ファシリテーションとは、会議などで人の意見を引き出して、会議を進めることです。ただトップダウンで上司から部下へ報告や指示を出す会議ではなく、部下にも発言してもらうことで、会議の意義を高めます。そして、意見を最後に整理してまとめて、ゴールを皆に共有するまでがファシリテーションです。
ファシリテーションスキルで最も重要なのは、常に中立の立場でいることです。会議の着地点を共有し、どんな意見が出ても「面白いですね」などと、発言しやすい場を作ります。日頃から人の意見を中立的に聞くように意識してみると良いでしょう。
また、ファシリテーションスキルを伸ばすには、会議進行を経験するのが一番です。上司に申し出てファシリテーションをさせてもらう、小さめの会議で進んでファシリテーターを務めるようにすると、自然と会議進行が上手くなります。
問題解決スキル
マネジメントをするうえで、チームで発生する問題を解決するスキルも必要です。チームの運営にはトラブルがつきものであり、その際に慌てず解決できる指示を出さなければなりません。また、解決後にチーム員と話し合い、以後同じようなトラブルが発生した場合の対策まで考えることが重要です。
問題解決スキルを伸ばすには、日頃から問題と解決策をセットで考える癖をつけましょう。業務でミスが発生したら、そのミスを解決するのに必要なタスクを瞬時に考え、優先順位をつけます。例えば、見積もり作成時にミスが発生し、提示する金額に誤りがあった場合、一番に行うのは先方への報告と謝罪、見積もり修正です。その後、ミスの発生原因を特定して再発防止策を考えます。
以上のように、常に問題と解決策をセットで考えて、発生するタスクの優先順位をつける訓練をしましょう。他部署で発生した問題やミスなどにもアンテナを張り「自分ならどう解決するか」考えてください。
業務遂行スキル
マネジメントスキルには、業務遂行スキルも含まれます。業務遂行スキルとは、与えられたポジションの仕事をこなすうえで必要な能力や経験です。マネージャーの仕事にはマネジメント以外に、会議資料の作成やプレゼンテーション能力なども含まれます。
業務遂行スキルを身につけるには、自社のマネージャーの仕事を観察してください。マネージャーが資料作りを担当しているなら、あなたも日頃の会議で説得力のある資料を作るようにしましょう。上長が担当している仕事を補助する役割につけてもらい、その仕事を学ぶのも勉強になります。
マネジメント能力を向上させる方法
マネジメント能力を向上させる方法は、以下の5つです。
- マネージャーの視点を持って仕事をしてみる
- 相手の立場になって話を聞く習慣をつける
- ロジカルシンキングを心掛ける
- 業務への正しい知識をつける
- コーチングサービスを自分で利用してみる
マネージャーの視点を持って仕事をしてみる
今のまま仕事を続けても、あくまでプレイヤーとしての視座しか持てません。そこで意識したいのが、マネージャーの視点を持つことです。仕事をする際に「マネージャーならどう話すか、どう対応するか」と考えて仕事をすると、自然とマネージャーポジションとしての意識が生まれ、仕事への姿勢や視点が変わります。
例えば、ジョブローテーションはプレイヤーからすると面倒な提案ですが、マネージャーとして考えるとどうでしょうか?リソースを効率的に活用し、繁忙時期を平準化するために良い提案だと思えるはずです。このように、マネージャーの視点を持って仕事に取り組むと、マネジメント能力が身につきやすくなります。
相手の立場になって話を聞く習慣をつける
人の話を聞くときは、常に相手の立場を考慮して聞きましょう。人が誰かの話を聞く際には、今まで培ってきた経験からできたフィルターを通して聞き、意見を伝えます。しかし、マネージャーになるには、そのフィルターを外して相手の立場に100%共感したうえで、正しい道へ導く必要があるのです。
同僚から愚痴を聞く時も、相手の立場になって話しを聞きましょう。普段なら「くだらない」と思ってしまう愚痴も、あなたが本当に同僚の立場になっていれば、共感できるかもしれません。なるべく相手の立場や思考を想像して話を聞く習慣をつけ、そのうえで意見を言うようにしましょう。
ロジカルシンキングを心掛ける
業務中も常にロジカルシンキングを心がけましょう。ロジカルシンキングとは物事をシンプルに分解し、整理する思考法です。ロジカルシンキングには様々なフレームワークがありますが、日常で取り入れやすい「PREP」法を紹介します。
- P…結論
- R…理由
- E…例
- P…結論
このフレームワークに当てはめながら伝えたいことを組み立てると、自然とロジカルな思考が身につきます。例えば「ジョブローテーションは業務改善に有効だ」という主張をしたい場合は、以下のように説明できます。
- ペーパーレス化によるコスト削減が可能だ
- 印刷にかかるインク代や用紙代、人的コストを削減できる
- 多くの企業がペーパーレスに取り組み、実際に〜%のコストを削減した
- 以上のことより、ペーパーレス化によるコスト削減は可能である
日常的に結論と根拠を考える習慣をつけることで、マネジメント能力を上げられます。
業務への正しい知識をつける
マネジメント能力を上げるために、正しい業務知識をつけましょう。業務の知識が不足していると、指示に誤りが生じ、現場が混乱するリスクがあるためです。そうなると、マネージャーの指示に説得力が生まれず、チーム員が指示を聞いてくれません。
例えば、チーム員がミスをした際に業務フローを理解していれば、確認作業の抜け漏れがないか判断し、問題発生の原因を特定できます。業務への正しい知識をつけるために、まずは目の前の業務をしっかりこなすよう意識しましょう。
コーチングサービスを自分で利用してみる
コーチングサービスを自分で利用することで、コーチングが何かを体感できます。対話を通じて相談者に答えを自発的に導き出させる方法を学ぶことができ、実践に活かせるはずです。
また、具体的にマネジメントに必要なスキルをつけるために、今何をすべきかのアドバイスももらえるでしょう。
人を教え導くことが何かを実体験でき、さらにマネジメントスキルのあげ方を習えるコーチングは非常に有用です。コーチングサービスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
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マネジメント能力向上を目指してより高いキャリア目標を立てましょう
マネジメント能力をつければ、より広い視野で全体を見通し、キャリアでのステップアップが目指せます。マネジメント能力を上げるのに必要なのは、毎日の仕事をより上位のポジションの視点を持ってこなすことです。
マネジメント能力の伸ばし方、今自分のポジションで何をすべきかわからないという人は、キャリアコーチに相談するのがおすすめです。マネジメント経験がある専門家から、マネジメントとは何か、スキルの伸ばし方のアドバイスがもらえます。
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