【実践ガイド】部下との信頼関係を築く6つの行動!信頼されない人の特徴も解説
「部下の話を聞いているつもりなのに、なかなか心を開いてくれない」
「リモートワークで部下とのコミュニケーションが減り、信頼関係が築けているか不安…」
「年上の部下など、世代の異なるメンバーとの距離感に悩んでいる」
このような悩みを抱える管理職の方は多いでしょう。多様な価値観や働き方が広がる現代では、部下との信頼関係の構築に悩む管理職が増加傾向です。
本記事では、部下との信頼関係を築くための6つの特徴・行動と、リモートワークや世代間ギャップがある場合の対処法などを詳しく解説します。また、信頼関係を損なう行動や、失った信頼を取り戻す方法も説明します。
信頼関係の構築に悩む管理職の方は、ぜひ本記事を参考に、より良い職場環境づくりに活かしてください。
「部下から信頼されておらず、仕事を進めづらい」と悩んでいる方には、キャリア相談専門のスキルシェアサービスのcoachee(コーチー)をおすすめします。ビジネス経験豊富なコーチや相談のプロに、仕事での人間関係の悩みを相談できるのが特徴です。
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部下との信頼関係を築けている状態とは?
部下との信頼関係が築けている状態とは、上司と部下が互いを頼りにできると確信している関係です。
例えば、上司が「今回の案件はAさんに任せれば期待通りの成果が出る」と確信したり、部下が「困った時にはBマネージャーがサポートしてくれる」と信じたりできる状態を指します。
部下が期待以上の成果を上げ、上司が部下の成長に向けて的確なアドバイスを継続的に行うなどの積み重ねによって、双方の信頼関係は構築されるでしょう。
部下との信頼関係を作るべき2つの理由
部下との信頼関係づくりには、下記のようなメリットがあります。
- 部下へのサポートが行いやすくなるから
- 部下のやる気が高まり成長につながるから
良好な信頼関係を築くと、部下は上司に対して本音で話せるようになり、組織の一体感も高まります。さらに、信頼関係があれば、部下の成長をサポートしやすく、離職防止にもつながるなど、多くのメリットが生まれます。
本項で解説するメリットを理解したうえで、信頼関係を作りましょう。
1.部下へのサポートが行いやすくなるから
部下との信頼関係が深まると、部下の悩みや課題を把握しやすくなり、適切なサポートを提供できます。日頃から部下の状況を理解していれば、必要なフォローのタイミングも見極めやすくなるでしょう。部下が抱えている悩みにも気づきやすくなり、離職防止にもつながります。
また、部下が気軽に相談できる環境があれば、業務上の問題点を早期に発見でき、致命的なミスを防ぐことにもつながります。
2.部下のやる気が高まり成長につながるから
信頼関係がある職場環境では、部下は安心して意見を述べられ、仕事への意欲も自然と高まります。部下の満足度やモチベーションが向上すると、仕事の質も必然的に上がり、生産性の向上にもつながるでしょう。
部下の成長はチーム全体にも影響を与えられ、業績向上などの好循環を生み出せます。
部下と上司との信頼関係の現状・課題
上司と部下の間には信頼関係が作られている場合が多いですが、課題が残されています。
マンパワーグループの調査によると、中間管理職の84.6%が部下を信頼していると回答しており「信頼している」が21.8%「どちらかといえば信頼している」が62.8%の結果になりました。一方、若手社員側も、上司に対して高い信頼を寄せており「信頼している」が36%「どちらかといえば信頼している」が47.3%と、8割以上が肯定的な回答を示しています。
ところが、株式会社カオナビの調査では、約60%の社員が「上司が自分の個性や事情を十分に理解していない」と感じていると報告されました。
表面的な信頼関係は築けているように見えても、上司による部下への理解が不十分だと感じている社員がいる点も事実です。長期的に見ると信頼関係の崩壊にもつながりかねないため、注意が必要でしょう。
次項から解説する「部下との信頼関係を築ける上司の6つの特徴・行動」を参考にしながら、対策を取ってください。
出典:中間管理職の約8割が「部下を信頼している」。信頼できる部下と、できない部下の違いとは?|マンパワーグループ
出典:若手世代の約8割が「上司を信頼している」と回答!部下から見る「信頼できる上司像」とは|マンパワーグループ
出典:20代~30代が上司に理解してほしいことNo.1は「性格」!?|カオナビHRテクノロジー総研
部下との信頼関係を築ける上司の6つの特徴・行動
部下との信頼関係を築ける上司の特徴や行動は、以下のとおりです。
- 部下の状況を定期的に確認する
- 傾聴して話を聞く
- 多角的な観点から根拠や具体例をもって話す
- 積極的に感謝を伝え褒める
- 部下に責任のある仕事を任せる
- 的確に判断する
以下の項で詳しく解説します。
1.部下の状況を定期的に確認する
部下の現状を把握せずに指示を出すと、業務が円滑に進まない可能性が高まります。まずは、積極的に部下の状況確認から始めると良いでしょう。部下は上司に見守られているという安心感を得られ、互いの信頼関係が自然と深まっていきます。
上司は部下の業務進捗を定期的に確認し、新しい業務や難易度の高い仕事に取り組む際は、適切なタイミングでフォローしてください。具体的には、目標に対する達成状況の確認やつまずきポイントのヒアリングなどを行うことで、部下の成長を支援できます。
なお、対面での確認が難しい場合には、日報やオンラインミーティングなどの手段を活用すると効果的です。
2.傾聴して話を聞く
信頼される上司に共通する特徴として、部下の話に真摯に耳を傾ける傾聴の姿勢が重要です。困った時にいつでも話を聞いてくれる上司がいれば、部下は安心感をもって仕事に取り組めるようになります。
下記のように、厚生労働省が傾聴の姿勢を記載しているため、参考にしてみてください。
基本姿勢 | 具体的な態度 |
共感的理解 | • 相手の視点から物事を見る • 感情に焦点を当てて理解する •「その気持ち、よく分かります」という姿勢で接する |
無条件の肯定的関心 | • 判断や評価を控える • 相手の考えの背景に興味をもつ • 安全な対話空間を作る |
自己一致 | • わからない場合は素直に確認する • 自分の感じたことを正直に伝える • 曖昧なままにしない |
参考:傾聴とは|こころの耳
傾聴の際は、相手の立場に立って気持ちを理解しようとする態度が大切です。また、善悪や好き嫌いの判断を挟まずに、相手の考えに至った背景に関心をもって聞くと、部下は安心して本音を話せるようになるでしょう。
3.多角的な観点から根拠や具体例をもって話す
部下に対して、あいまいな説明や納得のいかない説明をすると、指示に従う意欲が薄れ信頼を寄せにくくなります。
したがって、説得力のあるコミュニケーションを意識し、部下に意見や主張を行う際には根拠を示すよう心がけましょう。数字やデータ、客観的な事実を交えながら説明すると、部下の理解も深まりやすくなります。
さらに、意見が偏らないように、一つの視点だけでなく、多角的な観点から意見を述べるように意識すると、より説得力が増すでしょう。
4.積極的に感謝を伝え褒める
効果的な提案を受けた時や、初めての仕事をうまくこなした時など、節目のタイミングで感謝や褒める言葉を伝えると良いでしょう。感謝を伝えられると、仕事を評価してくれていることが伝わります。
また、仕事を褒められる経験は「上司が自分を見てくれている」という実感につながり、部下の成功体験となります。成功体験を積み重ねることで生産性の向上も期待できるため、良い取り組みには感謝や褒める言葉を積極的にかけましょう。
5.部下に責任のある仕事を任せる
上司は、自分で担当したほうが早くできると考えるのではなく、部下の成長を促すため、適度に仕事を任せてください。ただし任せきりにするのではなく、必要に応じて適切なフォローを行うと良いでしょう。
さらに、部下が仕事でつまずいた際に的確なサポートを提供できれば、頼りになる上司という印象を与えられます。
6.的確に判断する
頭の回転が速く、スムーズに指示を出せる上司は、部下から尊敬されやすい傾向にあります。したがって、仕事上の判断が求められる場面では、迅速な決断を心がけ、優先順位を付けてください。重要な案件から処理する習慣をつけると、的確な判断力が養われていくでしょう。
ちなみに、部下とのコミュニケーションをとるポイントを意識すると、信頼関係の構築にもつながります。部下とのコミュニケーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
【管理職向け】部下とのコミュニケーションの取り方7つのコツ!失敗例も解説
部下からの信頼関係を失う上司の6つの特徴・行動
信頼関係が失われると、職場の生産性低下や人間関係の悪化を引き起こす原因になります。特に上司の不適切な言動や態度は、部下との信頼関係を一気に失わせる要因になりやすいでしょう。そのため、信頼を損なう行動を把握し、日頃から意識して避けるよう心がけてください。
本項では、部下からの信頼関係を失う上司の6つの特徴・行動を紹介します。
- 部下の話を聞かない・聞き流す
- 高圧的で否定的な態度をとる
- 人や状況によって態度が変わる
- 部下に責任を押し付ける
- 決断力がない
信頼を失う行動を取っていなかったかどうかを確認してみましょう。
1.部下の話を聞かない・聞き流す
部下から嫌われる上司の典型的な特徴は、相手の話を聞かない、もしくは意見に耳を貸さない態度です。自分の主張ばかりを押し付けて話を聞かない上司は、相手の存在を軽視しているととらえられ、部下から否定的な評価を受けやすくなります。
特にZ世代(2024年時点で12歳〜28歳前後の若者)の社員は上下関係を好まず、オープンでフラットな関係性を望む傾向が強いため反発を買いやすくなります。したがって、相手の話に耳を傾け意見を聞くことから始めましょう。
2.高圧的で否定的な態度をとる
怒りの感情をコントロールできず、常に感情的な態度をとる上司は部下から敬遠されがちです。また、部下の努力や頑張りを認めず、いつも否定から入る姿勢も同様に尊敬されなくなります。
感情的・否定的な上司がいる職場では、部下のモチベーションが著しく低下し信頼関係が失われます。
3.人や状況によって態度が変わる
部下への態度を極端に変える上司は、信頼を大きく損なう恐れがあります。部下は「自分に都合の良い人間だけを優遇しているのでは」「嫌われているのかもしれない」など、不安を抱きやすくなります。
さらに、上司の言動に一貫性がないと、業務の進め方に混乱が生じ、手戻りが増加するなど業務効率の低下にもつながっていくでしょう。
4.部下に責任を押し付ける
自身の指示が原因でミスが発生したにも関わらず、責任転嫁する行為は、信頼関係を一気に壊します。責任転嫁は部下のモチベーションを著しく低下させるだけでなく、職場全体の雰囲気も悪化させる要因です。
例えば、上司の曖昧な指示により納期に間に合わなかった場合でも「指示を正しく理解できなかった部下の問題だ」と主張するケースが該当します。
部下の立場からすれば、次第に「自分が何か失敗した時に上司は守ってくれないかもしれない」という不安を抱くようになり、業務への積極的な取り組みも難しくなるでしょう。
5.決断力がない
仕事上の判断を求められる場面で優柔不断になり、決断が遅れがちな上司は頼りないと判断されます。
例として、部下から「この案件はどのように進めていけば良いでしょうか」と相談された際に、明確な判断を下せず「もう少し様子を見ましょう」と言い続ける状況です。また、クライアントとの商談や部門間の調整など、重要な場面で決断を避け続ける姿勢は、部下の業務進行の妨げとなり、ストレスも蓄積されていきます。
それに伴い、部下からの評価は必然的に低くなり「この上司に相談しても建設的な答えは返ってこない」と思われる要因にもなるでしょう。
失った部下からの信頼関係を取り戻す2つの方法
失った信頼関係を早期に修復しないと、業務効率の低下や人間関係のトラブルを招く可能性があります。そのため、下記のように素早い対応が求められます。
- 素直に謝る
- ミスをしても相手を許し改善策を考える
以下の項で詳しく解説します。
1.素直に謝る
部下との信頼回復には、まずは誠実な謝罪から始めましょう。例えば、上司がミスをした場合には、自分の非を素直に認めて頭を下げます。
謝る際には「申し訳ない」などの単なる言葉の繰り返しは避け、具体的な非を明確にしながら謝罪します。その後、今後どうしていくのか改善策も伝えてください。そうした姿勢を見せれば、部下も信頼を取り戻すきっかけになるでしょう。
2.ミスをしても相手を許し改善策を考える
たとえ部下側に信頼を失わせる行動があっても、追及や非難は関係性をさらに悪化させます。
むしろ、仕事上のミスは冷静に指摘しながらも、許す姿勢を示すほうが効果的です。加えて、同じミスを防ぐための具体的な改善策を一緒に考えていく姿勢が大切です。
そうすれば、部下もミスを恐れず安心して仕事に取り組めるようになり、信頼関係の修復につながります。
【パターン別】部下との信頼関係を築く方法
部下との信頼関係を築くためには、働き方や世代によって異なるアプローチが必要です。職場環境や部下の特性に応じた適切なコミュニケーションを実践することにより、良好な関係性を構築できます。
特に近年は、リモートワークの普及や世代間ギャップの拡大により、従来とは異なる信頼関係の築き方が求められています。本項では、状況に応じた効果的なアプローチ方法を解説します。
- リモートワーク環境下で働く場合
- 世代間ギャップがある場合
以下の項で詳しく解説します。
1.リモートワーク環境下で働く場合
リモートワーク環境下では、直接顔を合わせないため、進捗状況や予定の定期的な共有から信頼関係が生まれます。チーム全体が状況を把握できる環境を整えることで、お互いの仕事の進め方などの理解が深まるでしょう。
そのため、1~2週間に一度の頻度で1on1ミーティングを実施してください。その際は、業務の進み具合だけでなく、心身の状態や悩みも話し合う機会を設けましょう。また、オンラインでのコミュニケーションに加え、定期的な対面での雑談や相談の場を設けることで、部下は本音を話しやすくなります。
2.世代間ギャップがある場合
各世代の特性や価値観の正しい理解から、信頼関係は始まります。ベテラン世代は対面でのコミュニケーションを好む傾向にある一方で、若い世代はメールやチャットでの連絡を好みます。
したがって、価値観が違うことを前提にしたうえで、部下の考え方を深く傾聴する姿勢が大切です。例えば、部下が新しい業務改善案を提案してきた際、その提案の背景にある部下の思考や価値観を聞いてみてください。
「なぜその方法が良いと考えたのか」「どのような課題を解決したいと思っているのか」といった部下の意図を、否定や評価を挟まずに聞きましょう。部下は自分の考えを安心して話せます。
部下との信頼関係に悩んだらcoachee(コーチー)へ相談を
部下との信頼関係を築くには、日々のコミュニケーションや行動を見直す必要があります。
特に、部下の話に耳を傾け、定期的な状況確認を行うと信頼関係構築につながるでしょう。また、約束を守り、公平な態度で接することも重要です。
リモートワークや世代間ギャップがある場合も、それぞれの状況に応じた適切なアプローチを選んで良好な関係性を築きましょう。
とはいえ、本記事で紹介した部下との信頼関係を作る方法を実践するのが難しい方もいるでしょう。そのような時は、キャリアの専門家に相談できる「coachee(コーチー)」の利用がおすすめです。
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